税務署から「売上、仕入、費用及びリベート等に関する資料の提出方の依頼について」といった資料が突然送られてくることがあります。依頼ということだけであって、これを何に使うのかという使用目的の記載はありません。今回は、この資料せんと、それに関連する税務資料について説明します。
資料せんは、一定期間における10万円以上の売上高、30万円以上の仕入高、10万円以上の外注費、仲介手数料、広告宣伝費、5万円以上の接待交際費といったように作成範囲が定められています。
そして、個別の用紙に取引先の住所、氏名、取引年月日、取引金額、支払先の銀行口座、取引内容などを記入して税務署に郵送します。
これらの資料は、すべて国税局のコンピュータに入力されてデータベース化され、各税務署で利用可能な状態になっていると思われます。
各税務署で資料せんで報告された取引先の情報が、その取引先が申告した内容とまずチェックされ、取引先の申告内容の正確性が検証されるのです。このように、取引先の申告内容を間接的に検証するための資料を反面資料といいます。
税務調査においても、調査官はこの反面資料を必ず持ってきます。調査に立ち会っている税理士や納税者の目に触れないように、反面資料を隠しながら納税者の資料とチェックしていきます。反面資料を隠しながらチェックするのは、資料の提供者が納税者に分からないようにするためでしょう。
資料せんの他に反面資料としては、以下のようなものが考えられます。
200万円を超える外国送金をすると、銀行から税務署へ「国外送金等調書」という形で、送金者の情報が報告されます。
不動産の売買や贈与などがあって、不動産の登記を変更すると、これも法務局から税務署に報告されることになっているようです。
ゴルフ会員権についても、名義変更をすると、これも税務署に報告されるようです。
外国為替証拠金取引(FX)での利益を申告していないで、多額の納税を税務署から求められているケースががあると新聞で報道されています。税務署に報告義務のない業者を通して取引をすれば、確かに税務署に取引状況を当初は知られることはありませんが、その業者に税務調査が入れば一網打尽です。顧客勘定元帳のデータでも押さえられれば、そこにはすべての取引が記録されていますので、無申告の投資家はすべて分かってしまいます。
税務調査では、調査対象会社の申告の正確性の検証の他に、その会社の取引先の反面資料の収集も行われるのです。ですから、「分かりっこない」なんて考えていると痛い目を見ることになります。
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