登記簿の見方
第072_1号 2000年4月
1.登記簿って?
登記とは辞書によると「権利・身分を公に登録すること」とあります。この登記は大きく不動産登記と商業登記に分かれます。
不動産登記は土地建物の権利を登録し,商業登記は会社の状態を登録します。登記簿はこの登録を綴った物で、登記簿謄本とはその写しのことを言います。
2.コンピュータ化登記簿
現在、全国の登記所で登記簿のコンピュータ化が進められており、今現在約3分の1の登記所がコンピュータ化されています。コンピュータ化された登記所の登記簿謄本は名称が変わり、「登記事項証明書」となります。
3.登記簿謄本の入手方法
- ① 登記所に出向いて入手
- 登記簿謄本は不動産の所在地を管轄する登記所、または法人の本店所在地を管轄する登記所に行けば手に入れられます。
- ② 郵送で入手
- 登記所に手数料である登記印紙を貼った謄本の申請書と切手を貼った返信用封筒を同封すれば郵送で登記簿謄本を手に入れることができます。
- ③ インターネットでの閲覧
- 予定では平成12年度中に登記簿のインターネットでの閲覧ができるようになっています。
4.不動産の登記簿
不動産の登記簿は大きく見るところが大きく3つに分かれます。
- ① 表題部
- ここは土地建物の所在場所、土地建物の面積、土地の種類(宅地、山林、田畑等)、建物の種類(居宅、店舗、工場等)、建物の構造(木造、鉄骨等)等が記載されています。
- ② 甲区
- この甲区には、土地建物の所有権の移転・保存の状況が記載されています。それもどのような理由による移転なのか(これを登記原因といいますが、売買や相続、贈与などといった理由)が明示されています。
- ③ 乙区
- 乙区は所有権以外の権利に関する事項が登記されています。銀行から借金して購入した土地建物であればこの乙区に抵当権の設定登記がされています。これを見れば、どこの銀行からいつ、いくら借入をしたかが一目瞭然です。
5.商業登記簿
商業登記簿には会社の名前である商号、本店所在地、会社の目的、資本の金額、役員の氏名など会社の基本となる事項が記載されています。
有限会社であれば取締役及び監査役の住所も記載されています。株式会社の場合は代表取締役のみ住所が登記されています。
株式会社の場合は取締役は2年に1回の登記が、監査役は3年に1回の登記(それぞれの任期が2年と3年のため)が必要となります。これを怠っているか否かも登記簿を見れば一目瞭然です。
このように登記簿は誰でも見ることができるものですから、変更事項の登記は怠らないようにしなくてはなりません。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修