11年分個人確定申告の改正点
第070_2号 2000年1月
はじめに
今年3月15日が期限の個人確定申告の主な改正点は次のとおりです。
1. 特別減税
平成10年分の特別減税が定額減税であったのに対して、平成11年分の特別減税は定率減税となっています。所得税額の20%を減税するというものです。
したがって所得税額が多い高額所得者ほど減税額が多くなることになります。ただし、減税額は最高で25万円となっています。
2.子育て減税
子供の養育費、教育費が年々高くなり、その負担を少しでも和らげるため扶養控除額の引上げが行われました。
- ① 特定扶養親族(16歳以上23歳未満)
- 58万円から5万円アップの63万円になりました。
- ② 年少扶養親族(16歳未満)
- 38万円から10万円アップの48万円となりました。
3.住宅ローン控除
景気対策の目玉として住宅ローン控除制度が大幅に改正されました。
- ① 控除対象
- 従来建物に対応する借入金のみが控除対象でしたが、今回建物とともに取得した敷地である土地等にかかる借入金も対象とされます。
- ② 借入金の最高額
- 従来の3000万円から5000万円に引上げられています。
- ③ 勤務先からの借入金
- 従来勤務先からの借入金は年利が3%以上のものが控除対象とされていましたが、今回1%以上のものについて控除対象とされます。
- ④ 控除が受けられる年数
- 従来の6年間に対して今回は15年間にわたって控除の適用が受けられます。
トータルの控除額は最高で6年間180万円から15年間587万5千円となります。
- ⑤ 床面積要件の緩和
- 従来住宅ローン控除の適用が受けられる家屋の床面積は50㎡以上240㎡以下とされていましたが、今回上限の240㎡以下が撤廃されました。
- ⑥ 対象となる中古住宅の要件の緩和
- 従来は耐火建築物で20年、その他の建築物で15年でしたが、今回は耐火建築物で25年、その他の建築物で20年に緩和されています.
- ⑦ その他
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- 居住用財産買換えの譲渡損失繰越控除との併用が可能になりました。
- 平成11年1月1日から3月31日までに入居した人は従来の制度と今回の新制度とのいずれか有利なほうを選択できます。
4.最高税率の引下げ
所得税の最高税率が50%から37%に、住民税の最高税率が15%から13%に引き下げられています。
したがって所得税、住民税合わせての最高税率は50%となります。
5.少額減価償却資産の取得価額の引下げ
平成10年分までは減価償却資産で取得価額が20万円未満のものがその年に全額必要経費にできましたが、11年分から10万円未満に基準が引下げられています。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修