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中退共制度

第067_2号 1999年10月

1. 制度のあらまし

   

これから高齢化社会を迎えていきますと、従業員の定年退職も増加し、その退職金支払の負担も深刻な問題となります。

経済情勢の厳しいおり、企業が独力で退職金の資金を準備するのは容易なことではありません。国の助成も受けられる中退共制度を検討してみてはどうでしょうか。

中退共制度は中小企業が制度を運営する勤労者退職金共済機構という政府関係特殊法人と共済契約を締結します。それで企業は毎月掛金を口座振替により自動引き落としされ、退職金はこの政府の団体から直接退職者に支払われることになります。

具体的な加入の手続きは、銀行等の金融機関、商工会議所や青色申告会などの団体が窓口となっており、そこに契約申込書を提出することになります。

2. 加入できる中小企業の範囲

   

法人企業

<一般業種>
常用従業員数300人以下または資本金・出資金1億円以下
<卸売業>
常用従業員数100人以下または資本金・出資金3千万円以下
<小売業>
常用従業員数50人以下または資本金・出資金1千万円以下

個人企業は法人の場合の常用従業員数の判定のみで決定されます。

3.対象となる従業員

 
<法人企業>
役員以外の従業員が対象となります。役員でも工場長、部長など使用人兼務役員の場合は加入できます。
<個人企業>
事業主および同居の親族の従業員は対象となりません。その他の従業員が対象となります。同居親族の従業員でも他の従業員がいて他の従業員と勤務の実態が同様であれば対象となります。

4.退職金はどの程度か

退職金は掛金月額とその納付月数によって基本退職金が決定されます。納付月数が43月以上の場合は付加退職金が加算されます。

掛金月額10,000円の場合に
  10年納付して1,408,000円
  20年納付して3,302,000円
  30年納付して5,824,000円
 基本退職金が支給されます。

納付月数が1年未満は支給されません。

納付月数が1年以上2年未満の場合には支給額は掛金総額を下回ります。

5. 税務上の取り扱い

  • 企業が支払う掛金は、損金,必要経費となります。従業員の給与とされることもありません。
  • 退職給与引当金の繰入額が調整される場合があります。
  • 従業員に支給された一時払いの退職金は所得税法上、退職所得とみなされます。
  • 分割払いの退職金は所得税法上、公的年金等となり、公的年金等控除を受けられます。
(参考図書「よくわかる中退共制度Q&A平成11年度版」厚有出版)
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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