アトラスNEWS ~Monthly 税務・経営・節税情報~

職場のトラブル

第067_1号 1999年10月

1. 病気で長期欠勤、解雇できるか

従業員が業務上かかった病気であれば、療養のため休職する期間は解雇できない上、会社は休業補償と療養費を支払わねばなりません。解雇するには打切補償(平均賃金の1200日分)が必要です。業務上でない病気ならば解雇が許されます。

2.社員が仕事上の悩みでノイローゼ

業務上の病気とすると上記のとおりですが、仕事上の悩みなど誰でもあり、ノイローゼが病気かどうか疑問といえます。したがって勤務状態・成績不良等の理由で解雇することはできます。

3.社員同士のケンカ

会社としては事実関係を調べ、加害者から始末書を取るなどし、懲戒処分をするべきでしょう。被害者は加害者に対する損害賠償請求だけでなく、使用者としての会社に対しても請求がなされる場合があります。

4.社内結婚で女性を退社させたい

結婚を理由として解雇することはできません。

欠勤や遅刻・早退が多くなり仕事の能率が下がるようであれば解雇理由になりますが、通常行われているのが、いわゆる肩たたきです。つまり、自発的に退職してもらうよう働きかけるのです。

5.社員が通勤途中に自動車事故

普通,従業員が業務中に他人に損害を与えた時は、その使用者(会社)も損害賠償の責任を負います。しかし、一般に通勤途上は勤務中とはされず、仕事場に着いてからが勤務中となります。

6.休日に会社の車でドライブ中に事故

休日ドライブであれば会社の業務とは関係ありません。しかし、最近の判例傾向では「業務につき」ということの解釈を広げつつあります。

休日に会社の車を使わせることについて、日常業務に関係があったり、車の管理がルーズゆえに平日なみに使わせた、などの事情があれば、やはり業務関連事故という判決になる可能性が多分にあります。

現実としては会社の車ですから、使用者責任の問題とは別に車保有者として自賠法上の責任が生じ、事故の損害に関しては全て会社が責任を負うことになります。

7.社員が飲み屋でケンカ、刑事事件に

ケガをさせた相手の会社へ上司とともにお詫びに行きます。

さらに,慰謝料を含めた損害賠償をして示談へ持ち込みます。むろん示談金は本人に出させますが、これを書面にして捜査当局へ提出すれば、よほどでない限り不起訴になる可能性が強いといえるでしょう。

あとは本人に会社宛の始末書を出させた上で、何らかの懲戒処分を出すというのが定石でしょう。

8.忙しい時期なので休暇をあげたくない

休暇拒否の理由が正当であれば、「会社の繁忙期には有給休暇を与えない,請求されても認めない」ということもできます。この場合に従業員が一方的に休めば、それは欠勤であり,かつ業務命令違反ですから懲戒処分もできることになります。


「人事・労務の法律事典」株式会社自由国民社発行より
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

 無断転用・転載を禁止します。