路線価とは、国税庁が決めたその年1月1日現在の土地評価額です。土地に面した道路1㎡いくらと決めて、土地の間口や奥行き、形状等により調整を加へ、土地の面積を乗じて評価額を計算します。
国土庁が発表する公示価格のおおむね8割の水準を目安に決められます。毎年8月くらいに税務署で一斉に発表されます。相続税や贈与税の算定基準として使用されます。
99年分路線価は七年連続の下落となりました。全国平均で路線価は15万8千円で、下落率は7.1%となり、前年の下落率5.0%に比べて下げ幅拡大となっています。ピークだった92年分の全国平均路線価36万7千円の43%まで下がったことになります。
都市圏別の平均路線価は次のようになっています。いずれの地域においても下落しており、下げ幅も拡大しています。バブル経済崩壊後の地価下落は依然続いていることを示しています。
99年 | 98年 | 変動率(%) | |
---|---|---|---|
東京圏 | 317 | 343 | ▲7.6(▲5.0) |
大阪圏 | 261 | 284 | ▲8.1(▲5.3) |
名古屋圏 | 124 | 136 | ▲8.8(▲4.2) |
その他 | 80 | 85 | ▲5.9(▲4.5) |
※単位千円、1㎡当りの金額
※▲は下落、カッコ内は前年の変動率
(読売新聞夕刊99年8月4日より)
路線価の下落は、長引く不況により土地の実勢価格が下げ止まっていないことをはっきりと映し出しています。路線価は相続税や贈与税の算定基準となっており、相続税や贈与税の負担がその分減少するわけですから、その面では喜ばしいことです。
しかし財産は土地がほとんどという人にとっては、相続税はそれで安心というわけにいきません。
相続税は原則として金銭で納付します。たとえ路線価の下落により相続税が多少安くなっても、納めるべき相続税を金銭で用意することは易しい事ではありません。金銭を用意するため、結局土地を売却することになりますが、地価下落が続いているのですから思うような価格で売れるとは限らないのです。
土地そのものを相続税として納付する物納も94年をピークに減少傾向にあったものが再び98年度で増加しているようです。
99年分の路線価は8月4日より全国の税務署で公表されています。 税務署には路線価図が設置された場所が設けてあり、だれでも無料で閲覧できます。税務署によってはコピーサービス(有料)を行なっているところもあります。
この機会に、路線価を調べて相続税の現状をつかんでおくこともよいかと思います。現状をつかむことが相続対策の第一歩となり、そこからいろいろな知恵が出てくると思われます。
無断転用・転載を禁止します。