アトラスNEWS ~Monthly 税務・経営・節税情報~

第044_1号 1997年9月

金融機関が預金まで担保によこせといったら、それはもう「おたくにはお金を貸しませんよ」ということとイコールです。預金を担保に入れることなど、断固断って、預金を下ろして使うべきです。

2.売上代金の入金口座は他行にする

危機管理の立場から、通常売上代金は借入金融機関とは別の金融機関に入金する必要があります。借入返済が滞った場合、簡単に差し押さえられてしまいます。

3.手形割引専用の銀行を作る

利払い等が滞った場合、銀行から「もうおたくからの手形の割引はできません」と言われたら、会社はもう大変です。ですから、借入金融機関とは別の手形割引専用の銀行を作る必要が危機管理上あります。

4.不動産を共有名義にする

会社で借入をしててもほとんどの場合、社長個人が保証人となっています。この場合、借入の返済ができなかったとき、金融機関は社長個人の担保に入っていない不動産を差し押さえようとします。友人に保証人を依頼している場合も、この友人の自宅が差し押さえられて競売、という事態も考えられます。

そこで、担保に入っていない不動産について共有にすることです。妻と夫と自宅不動産を共有名義としておけば、差し押さえがあっても夫の持ち分だけで、競売にかけられてもこれを落札する人はまずいませんから、競売されずに住み続けることができます。

婚姻機関20年以上の夫婦なら相続税評価額で2千万円までの居住用の不動産を無税で贈与できます。他人の保証人になった場合にも、同様な手続きをとることが危機管理上必要です。

5.短期賃貸借契約を登記する

利息が払えず、本当の延滞となったら企業再建のため一定期間、事実上競売を延期するのに用いる方法です。

金融機関の担保となっている不動産を3年くらいの期間で貸し、その賃貸借契約をその不動産に登記するのです。そうすると、競売にかけられてもこのような登記の付いた不動産を落札する人はまずありません。落札されなければその間は、今までどおりに会社の工場や事務所、自宅を使うことができます。この方法は、捕まった末野興産がよく使った手口ですが、あくまでも企業再建のために使うのであれば悪用ではありません。

6.保証人の三大心得

他人の借入の保証人となり、他人が利払いもできなくなった場合に、「代わりに払え」と請求された場合の心得です。

 
① 行かない、会わない
金融機関に呼び出されても行かないこと、会わないことです。
② 話さない
「行かない、会わない」を実行すると、自宅や勤務先に訪ねてきますが、一切相手にせず、話さないことです。
③ 払わない
払えばいつまでも追求されます。

以上を実行して、「もうあいつからはとれない」と金融機関があきらめれば、それでおしまいです。

★ 倒産防止共済制度に加入しよう

手形が不渡りになった場合などには、掛け金の10倍までを無担保・無保証・無利子で5年間借りることができます。掛け金は経費で落ち、数年掛けて解約すればほぼ掛け金の全額が戻ってくるため節税商品でもあります。

「どんとこい銀行」サンマ-ク出版より
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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