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ホンダとマツダ

第042_2号 1997年7月

1.新聞に載っていた決算公告で、ホンダとマツダを比較してみましょう

● 貸借対照表
ホンダ マツダ
(資産の部)
流動資産
 現預金
 受手・売掛金
 棚卸資産
 その他
6,497
1,006
2,028
1,469
1,994
3,801
943
1,593
540
725
有形固定資産
 建物
 機械
 土地
 その他
4,781
1,443
772
1,904
661
4,026
1,041
1,320
944
721
投資等
 子会社株式
 その他
3,846
2,811
1,035
2,142
785
1,357
資産合計 15,126 9,970
(負債の部)
流動負債
 支手・買掛金
 短期借入金
 その他
5,252
2,797
195
2,260
3,669
1,460
838
1,371
固定負債
 社債
 長期借入金
 その他
1,490
1,000
427
63
2,559
2,084
169
306
(資本の部)
資本金
準備金・剰余金
860
7,523
1,200
2,541
負債・資本合計 15,126 9,970
     
● 損益計算書
ホンダ マツダ
営業収益 28,461 14,268
営業費用 26,850 14,321
営業利益 1,611 △ 53
営業外損益 55 192
経常利益 1,666 139
特別損益 - 7 78
税前利益 1,659 61
法人住民税 756 -
当期利益 903 61

まず損益計算書を見ると、売上である営業収益が倍違います。

マツダは営業収益から売上原価と販売費及び一般管理費の合計である営業費用を差し引いた営業利益が53億円の赤字となっています。 一方ホンダは営業利益で1,611億円の利益です。

マツダは本業で生じたこの赤字を手持ち株式の売却による営業外損益で埋め合わせることにより経常利益139億円を捻出しています。 一方ホンダは、営業利益がほぼそのまま税前利益として計上され法人税住民税を756億円計上して当期利益903億円となっています。

マツダは経常利益から子会社整理損等の特別損益78億円を引いた61億円が当期利益として計上されています。税金がゼロです。本来利益がでれば税金が出るはずですが、おそらく数年前の損失がまだ繰り越されているのでしょう。このように収益面ではマツダは資産を食いつぶして利益を出している状態です。

売上が倍違えばそれを生み出す元である貸借対照表の資産合計(会社の財産合計)も倍違うのかというと、ホンダ15,126億円に対しマツダ9,970億円で、1.5倍に過ぎません。

すなわちホンダはマツダの1.5倍の資産で倍の売上を計上していることになります。資産のうち、建物や機械等を内容とする有形固定資産の額は両者あまり変わりません。つまり、マツダはホンダに比して、設備の稼働効率が極端に悪いことを意味しています。

また、有形固定資産中の土地の額もホンダはマツダに比べて約1千億円多く、担保余力に大きな差がありそうです。

社債及び長期借入金・短期借入金といった有利子負債の額はホンダの1,622億円に対し、マツダ3,091円とマツダが倍近く有利子負債を背負っています。

資本の部の準備金剰余金は基本的に会社設立以来の利益の蓄積額です。マツダはホンダの3分の1で、過去における利益の蓄積度の違いが明白です。

以上、ざっと見てきましたが、このような決算公告は日経新聞に毎月掲載されますので、電車の中でもって決算書の見方を勉強するのに参考にしてください。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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