【先 生】
「やっほほ~い♪二人とも随分久しぶりね。余りに逢っていないものだから貴方達のことを忘れちゃったわ♪」
【生徒♂】
「忘れてくれていいよ。先生の記憶を僕の脳細胞からリセットしたかったんだけれど、しぶとく残っているんだよね・・・」
【生徒♀】
「まったくですわ。お鍋の底にこびり付いたクリームシチューの真っ黒おこげみたいにしつこく私の記憶に残っていますわ。不愉快極まりないですわね。」
【先 生】
「ちょっと・・・私は年上よ?貴方達の先生よ?随分と完膚なきまでのセリフを吐いてくれるわね・・・まあいいわ。授業を始めるとしますか。」
【生徒♂】
「今日は、法人が課税期間を短縮する場合の届出に関する特例についてだったね。」
【生徒♀】
「確か、『吸収合併』と『吸収分割』についての特例でしたわね。」
【先 生】
「ええ、そうよ。課税期間を短縮する為の届出書の効力は、その届出書の提出日の属する期間の翌期間の初日から生じるというのが原則なのだけれど、『吸収合併』と『吸収分割』があった場合には特例があるのよ。」
【生徒♂】
「ふ~ん。それはどんな特例なんだい?」
【先 生】
「じゃあ先ず、吸収合併の場合から説明するわね。」
【生徒♀】
「ええ、お願いしますわ。」
【先 生】
「合併法人が、課税期間を短縮する為の届出書を提出した場合において、その提出日の属する期間が、課税期間の短縮特例を受けていた被合併法人との合併の日の属する期間であるときは、合併法人が提出した当該届出書の効力は、当該合併があった日の属する期間の初日から発生するのよ。」
【生徒♂】
「例えば、1月1日~12月31日を課税期間としている法人が、8月15日に課税期間を3ヶ月毎に短縮する為の届出書を提出した場合において、当該合併日が7月30日だったとすると、当該届出書の効力は、7月1日から発生するって訳だね?」
【生徒♀】
「今の例をまとめると、下記のようになりますわね。」
■1月1日~6月30日まで
⇒一の課税期間
■7月1日~9月30日まで(←届出書の提出日及び合併日の属する期間)
⇒当該届出書の効力が7月1日から発生し、当該期間から課税期間が3ヶ月毎と
なる。
■10月1日~12月31日まで
⇒3ヶ月の課税期間
【先 生】
「ええ、そのとおりよ。この考え方は、吸収分割があった場合も同様よ。」
【生徒♂】
「という事は、当該届出書の提出日の属する期間中に吸収分割があった場合には、その届出書の効力は、その提出日の属する期間の初日から発生するって訳だね?」
【先 生】
「そのとおりよ。この吸収合併や吸収分割があった場合の届出書効力の発生の考え方は、課税期間を1ヶ月毎に短縮する場合においても同じよ。」
【生徒♀】
「はい!質問!吸収合併とか吸収分割っていうのは、合併法人や分割承継法人が、その相手方である被合併法人・分割法人の事業を承継するのですわよね?」
【先 生】
「ええ、そのとおりよ。」
【生徒♀】
「じゃあ、その被合併法人や分割法人が既に課税期間の短縮特例を受けていたのであれば、そのまま合併法人や分割承継法人も課税期間短縮の特例を受けられそうなものではありませんの?」
【生徒♂】
「言われてみれば、確かにそうだね。どうして合併法人や分割承継法人は、新たに課税期間短縮の特例を受ける為の届出書を提出しないといけないの?」
【先 生】
「確かに合併法人や分割承継法人は、その相手方の事業を承継するのだけれど、その相手方が提出していた課税期間短縮の届出書の効力は、合併法人や分割承継法人には及ばないことになっているのよ(消基3-3-3(一)、3-3-4(一))」
【生徒♂】
「なるほどね。じゃあ、合併法人や分割承継法人が課税期間の短縮特例を受けたいと考えている場合には、忘れずに届出書を提出しなきゃね。」
【生徒♀】
「あら、私だったら『事業を承継したのだから、届出書の効力も引き継ぐのが当然ですわよ!』って床を転げ回ってダダをこねて税務署に認めさせてみせますわ。」
【先 生】
「税務署があなたみたいな小娘のダダなんて認める訳無いでしょ?首根っこをつままれて外に放り出されるのがオチよ。ダダを認めさせるには、あたしみたいに大人の色気をムンムンさせていなきゃダメよ。」
【生徒♂】
「よく言うよ。授業をサボる気はマンマンなだけでしょ?ところで、課税期間短縮の特例を受けている法人が、3ヶ月毎の短縮⇒1ヶ月毎の短縮へ変更したい、或いは、1ヶ月毎の短縮⇒3ヶ月毎の短縮に変更したいっていう場合は、どうするんだい?」
【先 生】
「う~ん・・・何だか授業をするのがメンドくさくなってきたから今日はもう帰って、きっついお酒を一杯ひっかけて寝ることにするわ。という訳で今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
【生徒♀】
「なんとまあ、遂に授業をサボる理由を考えるのも面倒になってしまったようですわね。
やれやれですわ。次回は、課税期間の短縮期間を変更する場合の手続きについて授業するように私の方からきつく言っておきますわね。ではみなさん、次回までごきげんよう♪」