【先 生】
「さて、基準期間が無い法人の納税義務判定についてだけれど、別段の定めがある場合を除き、その事業年度の基準期間が無い法人(社会福祉法第22条に規定する社会福祉法人を除く)の内、その事業年度開始の日における資本金の額、又は、出資の金額が1,000万円以上である法人のその基準期間が無い事業年度については、納税義務は免除されない事になっているのよ。(消法第12条の2第1項)この法人を一般的に『新設法人』と呼ぶわ。」
【生徒♀】
「どうして資本金の多さで判定しますの?」
【先 生】
「そうね。一概には言えないのだけれど、資本金というのは、会社の規模を示す1つの指標であると言えるわ。昔、今の会社法が施行される前は、株式会社を設立する為には、最低でも資本金を1,000万円準備する必要があったの。」
【生徒♂】
「会社を設立する上での元手になるお金だね。1,000万円というと大金だよね。」
【先 生】
「そうね。その大金を準備出来る会社であるという事は、経理部門もしっかりしていて消費税の納税義務者になったとしても納税事務負担が極端に大きくならずに済むだろうという意味があるのかもしれないわね。」
【生徒♀】
「そうか。確かに納税義務免除の規定は、小規模事業者の納税事務負担が、過大になり過ぎないようにという配慮から設けられているのですものね。」
【生徒♂】
「なるほどね。『1,000万円以上』って事は、1,000万円ぴったりだと“納税義務あり”となって、999万9,999円までだったら“免税事業者”になるって訳だね?」
【先 生】
「そのとおりよ。また、この1,000万円以上か否か?の判定は、その事業年度の“開始の日”時点で判定するから注意してね。」
【生徒♀】
「という事は、事業年度の途中で資本金を減らしたとしても事業年度の開始時点で1,000万円以上だったら“納税義務あり”になるって訳ね。」
【先 生】
「ええ。そのとおりよ。反対に事業年度の途中で増資をして期末時点で1,000万円以上になったとしても事業年度の開始時点で1,000万円未満であれば、その基準期間が無い事業年度については、納税義務無しって事になるわ。」
【生徒♂】
「じゃあ、資本金を増資して1,000万円以上にするなら、第2期目の途中で増資した方がいいって訳だよね。そうすれば、第1期目と第2期目は共に事業年度開始時点の資本金が1,000万円未満となるから両方とも免税事業者になれるものね?」
【先 生】
「そのとおりよ。ところでね、あなた達には言いにくいんだけど、新設法人については、今回の資本金による納税義務判定以外にもう1つとても重要な特例があるのよ。」
【生徒♀】
「またしても出ましたわね、私達の宿敵“特例”が・・・」
【生徒♂】
「その話はもう無かったって事でいいよ・・・僕はもう頑張れません・・・」
【先 生】
「何へなちょこな事言ってるのよ。次回は『新設法人と調整対象固定資産』についてお話しするからね。気合を入れておきなさいよ。ではまた次回!ばいばい!」