【先 生】
「さて、今回は、国内における課税資産の譲渡等の概要についてお話しするわね。」
【生徒♂】
「国内取引における納税義務者は、『事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務がある』だったよね?」
【先 生】
「そうよ。消費税は、日本国内において消費される財貨やサービスに対して負担を求める税金なの。だから日本国内において行われる取引だけが、消費税の課税対象となるのよ。」
【生徒♀】
「なるほど。外国で消費される財貨やサービスには、日本の消費税は課されないって訳ですわね?」
【先 生】
「そういうこと。実務においてもこの『国内取引に該当するか否か?』の判定は、とても重要なのだけれど、商業のグローバル化が進んでいる現代においては、この判定が非常に困難になっているケースもあるの。」
【生徒♂】
「ちょっと気になっていたんだけどさ、消費税の課税対象は『国内において事業者が行った資産の譲渡等には消費税を課する』だったよね?」
【先 生】
「そうよ。」
【生徒♂】
「一方、納税義務者の方では、『事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務がある』だったよね?」
【先 生】
「そうね。」
【生徒♂】
「どちらも『事業者』という点と『国内において』という点は、共通しているよね?でも、課税対象の方では『資産の譲渡等』、納税義務者の方では『課税資産の譲渡等』という微妙に違っている用語を使用しているんだけど、これってどう違うのかな?」
【先 生】
「とても良いところに気が付いたわね。実は、この違いは、消費税の仕組みを理解する上でとても大切なのよ。」
【生徒♀】
「どんな風にですの?」
【先 生】
「結論から言うとね、先ず、『資産の譲渡等』という大きな括りがあって、この内、『非課税取引』以外の部分が『課税資産の譲渡等』に該当するのよ。」
【生徒♀】
「『資産の譲渡等』ってどんなものを指しますの?」
【先 生】
「資産の譲渡等とは、『事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供をいう』と規定されているわ(消法第2条8号)」
〔生徒♂〕「『事業として』ってどんな事をいうのかな?」
【先 生】
「『事業として』というは、同種の取引を反復・継続・独立して行う行為の事であって、その規模の大小は問わないとされているわ。」
【生徒♀】
「なるほど。『対価を得て』という事は、物をタダであげたりする無償取引は、含まれないって事かしら?」
【先 生】
「原則として無償取引は、資産の譲渡等には該当しないわ。でも例外があって個人事業者が棚卸資産を家事消費した場合とか、法人が資産を役員に贈与した場合なんかは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡とみなす事とされているのよ。」
【生徒♂】
「じゃあ、国内取引についてまとめるとこうだね。先ず、消費税の課税対象となる『資産の譲渡等』があって、この中から非課税取引を除いた部分が『課税資産の譲渡等』となる。」
【生徒♀】
「そして、その『課税資産の譲渡等』を『事業者』が『国内において』行った場合に消費税の納税義務が発生する、という訳ですわね?」
【先 生】
「そのとおり!二人とも国内取引の納税義務に関しては、おおまかな概要は理解出来たみたいね。では、次回からは、国内取引に関する具体的な各論についてお話しを進めていくわね。ではまた次回!ばいばい!」