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週刊節税教室

外形標準課税 

法人税
第442号 2015/9/29

☆質問 

「以前経営再建中の大手家電メーカーが資本金を1億円にすると話題になりましたね。節税になると聞きましたが本当でしょうか?」

★回答

「資本金1億円以下ですと税務上は中小企業とみらます。法人税の税率が軽減されたり税制上の優遇が受けられます。とりわけ外形標準課税の対象外となるのが大きいです」

☆質問 

「外形標準課税とはどういった制度でしょうか?」

★回答

「外形標準課税は、法人が都道府県に納める事業税の計算方法です。法人の事業そのものにかかり、資本金が1億円を超える法人が対象になります」

☆質問 

「資本金が1億円以下の法人とどのような違いがありますか?」

★回答

「資本金が1億円以下の法人は儲けた利益をもとに事業税を計算します。赤字であれば払わなくて済みます」

☆質問 

「外形標準課税では、赤字でも事業税を払うことになるでしょうか?」

★回答

「その通りです。法人の事業そのものにかかりますので、赤字でも納税することになります」

☆質問 

「どういった仕組みでしょうか?」

★回答

「外形標準課税では

 ・法人の利益に対して3.4%

 ・法人が支払う人件費、利息、家賃に対して0.756%(付加価値割といいます)

 ・法人の資本金に対して0.315%(資本割といいます)

 の事業税がかかります」

「一方資本金が1億円以下の法人では

 ・法人の利益に対して6.7%の事業税がかかります」

☆質問 

「つまり利益に対する税率を下げて、付加価値割と資本割を設けたのですね」

★回答

「たとえ赤字でも景気の状況に左右されにくい項目で税金を確保するのがねらいです」

「今回の法人の場合、人件費だけでも1,000億円あるようです。そうすると単純に計算すると付加価値割で7.5億円、資本金は2,000億円なので資本割で4.7億円(資本金が1,000億円を超えると調整が入ります)となります。他にも調整項目がありますがざっと税額は10億程度といったところでしょうか?」

☆質問 

「なるほど。外形標準課税の対象外となって赤字であればこの税金が節税になりますね」

★回答

「来年以降付加価値割と資本割の税率が約3割増しになります。この2年で税率が倍になりますので赤字でも税負担は増しています。経営が厳しい法人にとっては大変ですね」

☆質問 

「よく分かりました」

税理士 吉田 斉
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