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週刊 なるほど!消費税

〔国内取引〕納税義務者の概要_事業者とは?

第360号 2014/08/11

【先 生】

「さて、今回は、消費税の納税義務者の概要についてみていく事としましょうね。納税義務者の範囲については、覚えているかしら?」

【生徒♀】

「覚えておりますわ。消費税の納税義務者とは、次のとおりでしたわね?」

≪納税義務者≫

1.事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務がある。

2.外国貨物を保税地域から引き取る者は、課税貨物につき、消費税を納める義務がある。

【先 生】

「そのとおりよ。きちんと覚えていて偉いわね。この内、2の保税地域からの引き取りは、輸入取引に関する事なのだけれど、この輸入取引の詳細については、日を改めて後日説明するから先ずは、1の国内取引についてみていく事にするわね。」

【生徒♂】

「うん!了解。で、国内取引の納税義務者をみると、“事業者は”ってあるよね?この“事業者”って何の事なのかな?」

【先 生】

「この“事業者”の範囲には、法人つまり会社はもちろん含まれるし、個人も含まれるのよ。」

【生徒♂】

「個人も含まれるって事は、僕も納税義務者に含まれるってことなの?」

【先 生】

「いいえ。納税義務者となる個人というのは、あくまでも『事業者』としての個人だけなの。」

【生徒♀】

「それはつまり、自分で何からの商売を営んでいる個人の事を指すのかしら?」

【先 生】

「そうよ。『事業者とは、自己の計算において独立して事業を行う者をいう』と定義付けされているわ(消基通1-1-1)だから、雇用契約に基づき勤務先の会社から給与収入を得るサラリーマンは、『自己の計算において独立して事業を行う者』とは言えない為、サラリーマンの給与収入には、消費税が課されないってわけ。」

【生徒♂】

「なるほど。でもさ、サラリーマンの中にも仕事の出来高に応じて支給される給与額が違ってくる人もいるでしょ?そういう場合もやっぱり“事業者”とは言えないのかな?」

【先 生】

「確かに出来高払い制のサラリーマンもいるわね。でも、それはあくまでも雇用契約に基づいて他の者に従属し、且つ、その他の者の計算により行われる事業に労働力を提供することによって給与を得られるわけ。つまり、会社に勤務し、その会社が行う事業に労働力を提供する見返りとして給与を得ているのであって、事業の主体者は、あくまでも会社って事になるわ。サラリーマン自体が事業の主体者ではない為、そのサラリーマンが得る給与収入には消費税が課されないのよ。」

【生徒♂】

「なるほどね。自分自身が事業の主体者になっているかどうか?がポイントになるわけだね?」

【先 生】

「そうよ。だからフリーランスで仕事をしているカメラマンとかデザイナー等は、その個人自体が独立して仕事を請け負っているから、このような人達は、納税義務者の範囲に含まれる事になるわ。」

【生徒♀】

「でも、出来高払い制のサラリーマンとフリーランスのカメラマン達ってどうやって区別しますの?」

【先 生】

「この区別は、原則として、その契約が雇用契約なのか?それとも請負契約なのか?によって区別するの。つまり、契約書の内容によって判断する事になるわ。」

【生徒♀】

「もし、契約書を作成していなかったりしたらどうしますの?」

【先 生】

「その場合には、次の事項を総合勘案して判定することになっているわ(消基通1-1-1)」

≪判定項目≫

1.その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容(い)れるかどうか。

2.役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

3.まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

4.役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

【生徒♀】

「なるほど。ということは、

1.他人への代替が許容されて、

2.事業者の指揮監督を受けず、

3.引渡し未了の物件が不可抗力で滅失した場合等には、その報酬を請求することが出来ず、

4.その役務提供に必要な材料や用具等をその個人自身が持ち込んでいる。

といった事情が認められれば、その個人は“事業者”に該当するという訳ですわね?」

【先 生】

「そういうこと。でも実務上では、この辺の判断も迷うケースが多いのだけれどね。」

【生徒♂】

「これで“事業者”の意味が分かったよ。」

【先 生】

「良かったわ。次回は、『国内における課税資産の譲渡等』についての概要をお話しをするわね。ではまた次回!ばいばい!」

アトラス総合事務所 税理士
大森 浩次
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