週刊なるほど!消費税

損害賠償金と消費税 (6)

第297号 2009/2/6

☆【生徒】

私は渋谷で飲食店を経営しています。

お店を賃借しているのですが、建物を建て直すという理由でお店の立退きを

迫られています。

★【先生】

立退料はもらえるのですよね?

☆【生徒】

はい、金額も提示されています。

飲食店は法人で経営していますので、法人税がかかるのは分かるのですが、

消費税もかかりますか?

★【先生】

結論から言うと消費税は課税されません。

☆【生徒】

わ~嬉しい!

てっきり消費税もかかると思っていたので、ラッキーです。

でも、なぜ消費税がかからないのですか?

★【先生】

建物の賃貸借契約の解除に伴う立退料は、建物を借りる権利が消滅すること

の対価ということで消費税の対象にはなりません。

☆【生徒】

なるほど、立退料は資産の譲渡や役務提供の対価として受け取るものではな

いから、消費税の対象にならないということですね?

★【先生】

そういうことです。

☆【生徒】

私の会社が土地を借りて、その上に自社の建物を建築して飲食店を経営して

いたとします。

このようなケースで、地主から立退きを迫られ立退料をもらった場合の消費税

の扱いはどのようになりますか?

★【先生】

土地を借りてその上に自前の建物を建てると、建物の所有者に借地権という

権利が発生します。

☆【生徒】

はい、分かります。

★【先生】

立退きにより自前の建物を取り壊して更地の状態で地主に土地を引き渡す対

価として立退料をもらった場合にも、この立退料は消費税の対象になりません。

☆【生徒】

借地権を地主に売ったことにはならないのですか?

★【先生】

借地権は建物の取り壊しとともに消滅します。

立退料がこの消滅した借地権の対価ということであっても、資産の譲渡の対価

ではありませんので消費税の対象にはなりません。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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