週刊なるほど!消費税

納税義務(法人成り:7)

第246号 2007/11/12

★【先生】

 先週は、法人成りに限らず、新たに法人を設立した場合において、免税期間が長く

なる方法について見ました。

☆【生徒】

 うまく決算期を区切ると、場合によっては免税期間が長くなるという話でしたよね。

★【先生】

 決算期を区切る必要があるので、本来必要がないはずであった税理士事務所へ

の決算料等、コストが発生する。また、それ以前に、将来の課税売上高を正確

に予測しなければならず、見積もりを誤れば、かえって免税期間が短くなってしまう

等の理由で、必ずしも得になるとは限らないとの話でした。

 今回は、前回出した事例の解説です。前回あった、「免税期間が3月延長される」

場合について考えてみましたか?

☆【生徒】

 考えました!

★【先生】

前回の事例は、以下のようなものでした。。

・平成19年以前から継続して事業をしている個人事業者である

・平成19年11月1日に法人成りした

・資本金 : 10万円

・事業年度 : 11月1日~10月31日

・平成19年11月1日から11月30日までは、店舗改装のため営業をしていない

・平成19年12月1日から営業を開始した

・月の課税売上高は110万円程度であり、毎月ほどんど変化はない

上記の条件のうち、事業年度を「11月1日~10月31日」から変更して、第1期を

うまい具合に区切りましょう、というものでした。

☆【生徒】

 事業年度を「11月1日~10月31日」から変更して、第1期の期末を「平成20

年2月29日」として、毎年「3月1日~2月28日」とする、ということでしたよね。

 第1期、第2期は、基準期間がないし、資本金も10万円で1,000万円未満だか

ら免税。問題は第3期ですね。

 第3期の基準期間は前々期の第1期だけど、第1期が1年未満だから、1年に

割り戻す計算をする。第1期は平成19年11月1日~平成20年2月29日。第1期

の課税売上高は、月の課税売上高が110万円程度で、営業が12月、1月、2月

の3月だから330万円。330万円を4ヶ月で割って12をかけると990万円となる。

課税売上高が1,000万円以下だから、第3期まで免税事業者となる!

★【先生】

 そうですね。これが、第1期目を3月31日で区切ってしまうと、第1期は平成19年

11月1日~平成20年3月31日。第1期の課税売上高は、月の課税売上高が110

万円程度で、営業が12月、1月、2月、3月の4月だから440万円。440万円を5ヶ月

で割って12をかけると1,056万円となり、課税売上高が1,000万円を超えるため、

第3期から課税事業者となります。

 また、一月の課税売上高の見積もりが、当初とは違って120万円にアップした場合

には、第1期を2月29日までとしていても、第1期の課税売上高が、月の課税売上高が

120万円程度で、営業が12月、1月、2月の3月だから360万円。360万円を4ヶ月

で割って12をかけると1,080万円となり、課税売上高が1,000万円を超えるから、

これもまた第3期から課税事業者となる。

☆【生徒】

 見積もりを誤ると、免税期間を長くするどころか、短くなってしまうのですね・・・

★【先生】

 そうです。

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