★【先生】
先週は、法人成りに限らず、新たに法人を設立した場合において、免税期間が長く
なる方法について見ました。
☆【生徒】
うまく決算期を区切ると、場合によっては免税期間が長くなるという話でしたよね。
★【先生】
決算期を区切る必要があるので、本来必要がないはずであった税理士事務所へ
の決算料等、コストが発生する。また、それ以前に、将来の課税売上高を正確
に予測しなければならず、見積もりを誤れば、かえって免税期間が短くなってしまう
等の理由で、必ずしも得になるとは限らないとの話でした。
今回は、前回出した事例の解説です。前回あった、「免税期間が3月延長される」
場合について考えてみましたか?
☆【生徒】
考えました!
★【先生】
前回の事例は、以下のようなものでした。。
・平成19年以前から継続して事業をしている個人事業者である
・平成19年11月1日に法人成りした
・資本金 : 10万円
・事業年度 : 11月1日~10月31日
・平成19年11月1日から11月30日までは、店舗改装のため営業をしていない
・平成19年12月1日から営業を開始した
・月の課税売上高は110万円程度であり、毎月ほどんど変化はない
上記の条件のうち、事業年度を「11月1日~10月31日」から変更して、第1期を
うまい具合に区切りましょう、というものでした。
☆【生徒】
事業年度を「11月1日~10月31日」から変更して、第1期の期末を「平成20
年2月29日」として、毎年「3月1日~2月28日」とする、ということでしたよね。
第1期、第2期は、基準期間がないし、資本金も10万円で1,000万円未満だか
ら免税。問題は第3期ですね。
第3期の基準期間は前々期の第1期だけど、第1期が1年未満だから、1年に
割り戻す計算をする。第1期は平成19年11月1日~平成20年2月29日。第1期
の課税売上高は、月の課税売上高が110万円程度で、営業が12月、1月、2月
の3月だから330万円。330万円を4ヶ月で割って12をかけると990万円となる。
課税売上高が1,000万円以下だから、第3期まで免税事業者となる!
★【先生】
そうですね。これが、第1期目を3月31日で区切ってしまうと、第1期は平成19年
11月1日~平成20年3月31日。第1期の課税売上高は、月の課税売上高が110
万円程度で、営業が12月、1月、2月、3月の4月だから440万円。440万円を5ヶ月
で割って12をかけると1,056万円となり、課税売上高が1,000万円を超えるため、
第3期から課税事業者となります。
また、一月の課税売上高の見積もりが、当初とは違って120万円にアップした場合
には、第1期を2月29日までとしていても、第1期の課税売上高が、月の課税売上高が
120万円程度で、営業が12月、1月、2月の3月だから360万円。360万円を4ヶ月
で割って12をかけると1,080万円となり、課税売上高が1,000万円を超えるから、
これもまた第3期から課税事業者となる。
☆【生徒】
見積もりを誤ると、免税期間を長くするどころか、短くなってしまうのですね・・・
★【先生】
そうです。
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