週刊なるほど!消費税

各種届出(2)

第215号 2007/03/26

【先生】

 前回から各種届出についてお話しています。

 今回は「消費税課税事業者選択届出書」と「消費税課税事業者選択

不適用届出書」について見ていきましょう。

【生徒】

 前回と紛らわしいって言った届出ですね。

【先生】

 そうです。

 まずは「消費税課税事業者選択届出書」から。

 この届出は、基準期間の課税売上高が1千万円以下、若しくは基準

期間が無い(資本金が1千万円以上の場合を除く)場合で、免税事業者

となっている時に、自ら課税事業者を選択しようとする届出です。

【生徒】

 なんでわざわざ課税事業者を選択するんでしたっけ?

【先生】

 通常は還付を受ける場合です。

 大きな投資を控えている場合や、開業まで時間がかかり当初売上が

上がらない場合など、預った消費税より支払った消費税が多くなること

があります。

 その期間に課税事業者であれば消費税の還付が受けられますが、

免税事業者であれば一切還付は受けられません。

 そのため、あえて課税事業者を選択します。

【生徒】 

 なるほど。この届出は提出期限がありますよね?

【先生】

 原則として、課税事業者になろうとする課税期間の初日の前日までに

提出する必要があります。

 但し、設立日を含む課税期間については、その課税期間の末日まで

に提出すればよいことになっています。

 また、一度この届出書を提出すると、次の「消費税課税事業者選択

不適用届出書」を提出するまで、ずっと効果が続きます。

【生徒】

 それじゃ、還付を受けられる期間が終わったらすぐ不適用届出書を

提出しないといけないですね。

【先生】

 そう単純にはいえません。「消費税課税事業者選択不適用届出書」

は、事業を廃止した場合を除き、選択届出書の効力が発生した課税

期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以降で

なければ提出できないこととなっています。

 つまり、免税事業者が課税事業者を選択したら、最低でも2年は課税

事業者でありつづけることになります。

【生徒】

 それじゃ、1年目は還付されても、2年目で納税っていう可能性も

ありますね。

【先生】

 そうです。ですから課税事業者の選択は、事前によく比較検討する

ことが大事です。

 もし「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出した場合には、

提出した日の属する課税期間の翌課税期間から、選択届出書の

効力がなくなることになります。

【生徒】

 課税事業者をやめたい課税期間が始まる前に提出しないといけない

ってことですね。気をつけないと。

【先生】

 不適用届出書や選択届出書を期限までに提出できなかったとしても、

やむをえない事情がある場合には「消費税課税事業者選択(不適用)

届出にかかる特例承認申請書」を提出して、期限後の提出を認めて

もらうこともできます。

【生徒】

 期限後でもOKなんですか?

【先生】

 但し、やむをえない事情というのは、災害など自己の責任によらない

事由で提出できなかった、或いはそれに準じる事由で税務署長が認め

た場合などです。

 単に忘れていたようなことでは認められません。

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