週刊なるほど!消費税

帳簿書類等の保存義務(5)

第210号 2007/02/12

【先生】

 今週末からいよいよ個人の確定申告が始まります。

【生徒】

 またこの季節が来たって感じですね。そういえば、平成19年から所得

税と住民税の税率が少し変わったとかなんとか・・・

【先生】

 そうです。地方への税源移譲に伴うものです。国税庁のホームページ

でも説明していますが、表現的に少し気にかかります。

 所得税と地方税トータルの税負担は基本的に変わらないと説明して

いるのですが、所得税が変わるのは平成19年1月分から、住民税が

変わるのは平成19年6月分からです。

 ここで注意するのは、住民税の平成19年6月分からというのは、実は

平成18年の所得に係る税金です。ですので、住民税は実質的に昨年分

から変わっていることになるのです。

【生徒】

 そうか。例えば今年から収入が無くなれば今年の所得税は0円だけど、

住民税は去年の分だから、6月から払わないといけないですもんね。

【先生】

 所得税が19年1月から減り、住民税が19年6月から増えるというのは

正確ではないことになります。

 さて、前置きが長くなりましたが、帳簿等についてのお話に入りましょう。

 前回は請求書等について見ていきました。請求書等は帳簿に記載した

内容を説明するものですから、その保存は非常に大切です。

【生徒】 

 かさばるからって捨てちゃダメってことですね。

【先生】

 そうです。きちんと保存するのが原則ですが、この請求書等の保存にも

特例があります。

 まずは、1回の取引の支払対価の合計額が3万円未満の場合。

 この場合には帳簿の記載・保存だけでOKとなっています。

【生徒】

 おお!そしたら3万円未満の領収書はビシバシ破棄していいのかな。

【先生】

 それはいけません。個人でも法人でも、青色申告をしていれば特にですが、

所得税や法人税を忘れてはいけません。

 3万円未満というのはあくまで消費税のみについての話です。

【生徒】

 結局全部とっておかないといけないんですね。

【先生】

 それが本来の会計の姿でもあります。

 次に3万円以上の場合です。

 支払対価の額が3万円以上であっても、

・請求書等の交付を受けなかったことにつきやむをえない理由がある

・やむをえない理由、相手方の住所又は所在地、を帳簿に記載

 という2つの要件を満たした場合には、帳簿の保存だけでその課税仕入

の仕入税額控除が認められます。

【生徒】

 帳簿に記載はいいとして、やむをえない理由って何ですか?

【先生】

 やむをえない理由は次のような場合を指します。

・自動販売機での購入

・乗車券や入場券などのように、証明書類が相手方に回収されてしまう

・相手方に請求書等の交付を請求したが交付を受けられなかった

・課税仕入を行った課税期間末日までに、支払対価の額が未確定

 これらの場合や、これらに準じるような場合にはやむをえない理由にあたる

とされています。

【生徒】

 なるほど。自動販売機は領収書なんてでないですし。電車の切符も、改札

で回収されてしまいますもんね。

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