週刊なるほど!消費税

納税額の計算(55)
貸倒れ

第181号 2006/07/17

【先生】

 W杯が終わっても何かと議論が続いているようです。

【生徒】

 頭突き事件ですね。相手がボールならナイスヘディング!で済むんだ

けどなぁ・・・

【先生】

 もしあの行為がなかったらと、考えてしまいますね。優勝していたの

はフランスかもしれない。

【生徒】

 あんなに切れるなんて、よっぽどひどい事を言われたのかな。

【先生】

 言った言わないの話になると長引きそうですね。

 さて、貸倒れのお話です。今回は貸倒れたはずのお金が戻ってきたとき

の処理についてです。

【生徒】

 貸倒れたものが戻ってくるなんてあるんですか?

【先生】

 めったにないと思いますが、ない訳ではありません。

 法律上の貸倒れでは更生法等に基づいて債権が消滅しているか、債務

免除により債権が消滅していますので貸倒部分が戻ってくるということは

考えられませんが、事実上の貸倒れや形式上の貸倒れ、特に形式上の

貸倒れは戻ってくるということも充分ありえます。

【生徒】

 形式上の貸倒れでは債権が消滅したわけじゃない、って言ってました

もんね。

【先生】

 そうです。取引停止後1年以上経過の場合や、取立費用に満たない場合

では、貸倒れ処理した後で入金があるということも考えられます。

 この貸倒れ処理後に受け取ったものを「償却債権取立益」といいますが、

償却債権取立益の処理方法は次のようになります。

 まずは償却債権取立益を領収した期が免税事業者であった場合。

【生徒】

 貸倒れがあった期が免税事業者であれば何も処理はしなかったんだから

今回も何もなしじゃないですか?

【先生】

 そうですね。免税事業者のときに償却債権取立益が生じても、消費税の

処理は何もしないこととなります。

 次に課税事業者である場合。

 原則的に償却債権取立益を領収した期に、取り戻した金額の消費税分

をその期の預った消費税として処理します。

【生徒】

 原則的にってことは例外があるってことですよね。

【先生】

 そうです。

 まず、貸倒れ処理した期が免税事業者であった場合、消費税でも貸倒れ

にかかる控除の適用を受けていないということですから、取り戻した期でも

預った消費税とする必要はありません。

 また、そもそも貸倒れにかかる売掛債権が発生した期が免税事業者で

あった場合も、貸倒れ時に控除の適用を受けませんので、取り戻した期でも

一切処理はしないことになります。

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