週刊なるほど!消費税

納税額の計算(50)
対価の返還等

第176号 2006/06/12

【先生】

 いよいよ今日はオーストラリア戦です。

【生徒】

 試合開始はPM10時ですよね。寝不足にならずに済みそうです。

【先生】

 サッカーに興味のない人には騒がしいだけだと思いますが、1ヶ月だけ

我慢してください。

 それでは今回のお話です。簡易課税については前回で終わりました。

【生徒】

 やっと終わりましたか。長かった・・・

【先生】

 今回からは「売上にかかる対価の返還等をした場合」について見ていき

ます。

【生徒】

 売上にかかる対価の返還っていうと、返品があった場合とかですか?

【先生】

 そうですね。返品のほか、値引き、割戻し、売上割引なども消費税上は

対価の返還にあたります。

【生徒】

 売上割引?

【先生】

 売上割引というのは、例えば売掛金が60日後入金という契約になって

いる場合に、30日で入金してくれたら一定割合だけ割引しますというよう

なものをいいます。

 これは通常は返品や値引きのように売上と直接対応する取引ではなく、

代金の決済取引にかかるものとして考えられ、割引額も利息と似たような

計算となることがほとんどです。

 ですが消費税法上は売上割引も、売上にかかる対価の返還等に含まれ

ます。

【生徒】

 利息に似てるからといって、非課税取引になるわけじゃないんですね。

【先生】

 そうです。元の売上取引が課税取引であれば当然課税取引として扱わ

れます。

 対価の返還等があった場合の処理ですが、会計上は2つ考えられます。

・売上高から直接減額する方法

・売上高とは別立てで計上する方法

 直接減額する処理をしている場合には消費税での調整は必要ありません。

減額された売上から預かった消費税を計算すればよいだけです。

 売上高とは別立てで計上している場合には、返還等の金額を調整して

あげる必要があります。

【生徒】

 その分減額するってことですね。

【先生】

 そうです。簡易課税で計算する際も、この対価の返還等を調整した後の

金額で計算します。

 一つ注意点としては、値引きや返品等が、免税事業者であった期間に

売上げたものにかかる場合、元の売上に消費税がかかっていなかったの

ですから、それに対する値引き・返品等も当然消費税は含まれていません。

 返還等を受けたのが課税事業者である期間でも、減額の対象とはでき

ません。

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