週刊なるほど!消費税

納税額の計算(45)
簡易課税

第171号 2006/05/01

【先生】

 風薫る5月。世間はゴールデンウィーク真っ只中ですが、そんな中でも

一生懸命働いている方も多いと思います。お疲れ様です。

【生徒】

 お疲れ様です!

【先生】

 実は連休中のほうが仕事がはかどったりするんですよね。

【生徒】

 電話もメールも少ないですし。仕事に集中できるだなぁこれが。

 休んでも遊んでくれる人がいないとか、そういう鬱な理由では決して無い

ですからね!

【先生】

 ・・・まぁ理由はともかく、がんばる人は思いっきりがんばって、休む人は

思いっきり休みましょう。

 さて、簡易課税の計算方法のお話です。

 前回は原則的な計算方法を説明しましたが、今回からは2つある特例の

計算方法を見ていくことにしましょう。

 まずは特例の一つ目です。この特例の適用を受けるためには次の条件

を満たす必要があります。

・特定1事業にかかる課税売上高が、課税売上高全体(免税売上を除く)

の75%以上を占めること

【生徒】

 例えば前回の例みたいに第1種、第2種、第4種の3種類の事業を営んで

いるときは、どれか1つの事業の課税売上高が全体の75%以上あるって

ことですか?

【先生】

 そうです。第1種だけで75%以上、又は第2種だけで75%以上、あるいは

第4種だけで75%という場合にはこの特例が使えることになります。

 注意しなくてはいけないのが免税売上を除くということです。免税売上は

税率0%の課税売上で、基準期間の課税売上高や課税売上割合を計算

するときに課税売上高に算入するということは以前にお話しましたが、こと

簡易課税に限って言うと、免税売上は全て除外して考えます。

【生徒】

 海外の事業者に商品を売ったっていっても、第1種の課税売上高には

入れないってことですね。

【先生】

 そうです。これは簡易課税が「預った消費税」から「支払った消費税」を

算出するという性質によるもので、免税売上は課税売上とは言っても、

預る消費税が発生しないものですから、一切考慮しないで計算するのです。

 さて特例の計算方法ですが、特定1事業の課税売上高が、課税売上高

全体の75%以上を占める場合には、その特定1事業のみなし仕入率を

課税売上高全体のみなし仕入率として計算できます。

【生徒】

 ということは、第1種事業が75%以上なら全体に90%、第2種が75%以上

なら全体に80%を適用するってことですか?

【先生】

 そうです。第4種が75%以上なら当然60%を全体に適用することになります。

 前回は複数の事業を営んでいる場合の原則的な計算方法を紹介しました。

そこで計算したみなし仕入率と、この特例を使った場合のみなし仕入率を

比較し、有利な方を選択することができます。

 例えば原則で計算したみなし仕入率が78%だったとします。

 第1種のみで75%以上を占めていればみなし仕入率は90%となり、原則

よりも特例が有利となります。

 一方第4種のみで75%以上を占めている場合には特例のみなし仕入率は

60%となり、原則のほうが有利となります。

 簡易課税を選択している事業者は原則的なみなし仕入率の計算をするだけ

ではなく、各事業区分の課税売上高が全体の何%を占めているかを計算し、

特例が適用できるかどうかも確かめる必要があるのです。

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