週刊なるほど!消費税

納税額の計算(27)
原則課税

第152号 2005/12/12

【先生】

 以前にお話したエクソンモービル日本法人の減資は結局撤回された

ようです。

【生徒】

 499億円の減資はやっぱり無理があるよなぁ・・・

【先生】

 取引先などからかなり反発があったようですね。本社のある東京都も

ほっとしているのではないでしょうか。

【生徒】

 外形標準課税だけでも結構な納税額でしょうからねぇ・・・

【先生】

 さて、引続き免税事業者から課税事業者となった場合の調整計算に

ついてお話していきましょう。

 免税事業者から課税事業者となると、期首棚卸資産のうち免税事業

事業者であった期間中に仕入れたものは控除の対象にできます。

【生徒】

 免税事業者である期間が複数年の場合でも続いていれば全て含めて

考えるんでしたよね。

【先生】

 そうです。複数年であってもその期間に仕入れたものであれば対象と

なります。

 さて、免税事業者から課税事業者となる場合ですが、5つのパターンが

考えられます。

・基準期間の課税売上高が1千万円を超えたことにより課税事業者となる

・課税事業者を選択したことにより課税事業者となる場合

・相続により被相続人の事業を引き継いだことにより課税事業者となる

・合併により被合併法人の事業を引き継いだことにより課税事業者となる

・分割により分割法人の事業を引き継いだことにより課税事業者となる

 課税事業者が免税事業者となる場合は基準期間の課税売上高が1千

万円以下となるか、課税事業者の選択をやめた場合の2つのみです。

【生徒】

 これら全てで調整計算が必要なんですか?

【先生】

 そうです。どんな状況であれ、新たに課税事業者となった場合には期首

棚卸資産の調整計算が必要となります。

【生徒】

 手間がかかるなぁ・・・でもその分控除額が増えるんだから納税者有利

ってことか。面倒だなんて言ってられないですね。

【先生】

 調整計算の仕方は、まず期首棚卸資産のなかで前期まで続けて免税

事業者であった期間中に仕入れたものを把握します。

 そこから消費税額を抜き出すわけですが、課税→免税の場合と同じよう

に、国内仕入の場合はよいとしても課税貨物の引取りの場合には支払った

消費税を直接的に出してあげる必要があります。

【生徒】

 引取りのときは税関とか乙仲に別途支払ってるんですもんね。

【先生】

 免税事業者だから消費税は関係ないということではなく、免税事業者である

期間中でもきちんと経理しておく必要があるということです。

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