週刊なるほど!消費税

納税額の計算(14)
原則課税

第139号 2005/09/12

【先生】

 前回は一括比例配分方式の計算方法についてお話しました。

【生徒】

 支払った消費税×課税売上割合 ですね。

【先生】

 そうです。一括比例配分方式は個別対応方式と違い、支払った消費税を3つの

区分に分けなくても計算できる方法ですが、個別対応方式も計算しないとどちらが

有利となるか判断できませんから、区別はきちんと行いましょう。

【生徒】

 せっかく選択可能なのに、損したらもったいないですもんね。

【先生】

 それでは今回は簡単な数値例で、実際の計算方法をみていきましょう。

 数値は全て税込とします。

 課税売上  21,000,000円

 非課税売上 5,000,000円

 売上原価(課税売上に係る) 10,500,000円

 売上原価(非課税売上に係る) 2,100,000円

 販売管理費(不課税仕入分)  3,000,000円

 販売管理費(課税仕入分)    8,400,000円

  うち非課税売上に係るもの    630,000円

  うち課税売上に係るもの     2,100,000円

 最初に課税売上割合の計算をしましょう。

【生徒】

 まずは税抜金額にしないといけないんですよね。非課税売上はそもそも消費税が

かかっていないからそのままでOKで、課税売上は

 21,000,000÷1.05=20,000,000

 課税売上割合の計算式は

 課税売上高÷(課税売上高+非課税売上高)

 だから、

 20,000,000÷(20,000,000+5,000,000)=0.8 →80%

【先生】

 そうですね。課税売上割合が95%以下なので、支払った消費税は全額控除できず、

個別対応方式あるいは一括比例配分方式により計算することになります。

 では次に個別対応方式による控除額の計算をします。

【生徒】

 そうしたら、支払った消費税を3つの区分に分けないといけないですね。

【先生】

 まずは支払った消費税を計算する前に、取引金額自体を3つの区分に分けてしまい

ます。

 課税売上に係るもの 売上原価10,500,000+販売管理費2,100,000=12,600,000

 非課税売上に係るもの 売上原価2,100,000+販売管理費630,000=2,730,000

 共通して係るもの   販売管理費8,400,000-(2,100,000+630,000)=5,670,000

 販売管理費のうち不課税仕入分は消費税がかからない取引ですので、この計算では

関係ない数字となります。

【生徒】

 分けたら消費税額を計算すればいいんですね。

 課税売上に係るもの 12,600,000÷1.05×5%=600,000

 非課税売上に係るもの 2,730,000÷1.05×5%=130,000

 共通して係るもの   5,670,000÷1.05×5%=270,000

【先生】

 個別対応方式では

 課税売上に係るもの+共通して係るもの×課税売上割合

 ですから、

 600,000+270,000×80%=816,000

 が控除する金額となります。

【生徒】

 一括比例配分方式は全体に課税売上割合を掛ければよかったですよね。

 (600,000+130,000+270,000)×80%=800,000

【先生】

 両方を比べてみると、

 個別対応方式の控除額816,000>一括比例配分方式の控除額800,000

 となり、個別対応方式の方が有利となります。

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