週刊なるほど!消費税

譲渡等・仕入等の時期(18)
現金主義

第124号 2005/05/30

【先生】

 5月も終盤。決算発表が目白押しですが、一方で増税話もオンパレードです。

【生徒】

 消費税の増税はしきりに出てきてますけど、他にもあるんですか?

【先生】

 サラリーマンには大問題。政府税調が給与所得控除の縮小に手をつけるよう

です。

【生徒】

 給与所得控除?

【先生】

 例えば年収500万円のサラリーマンの場合、500万円から経費として一定額

を控除することとされています。これが給与所得控除です。

 個人事業者で利益が年間500万円でるとすると、500万円に税率が掛けられ

ることになりますが、法人成りして500万円を給与として受け取れば。500万円

からさらに給与所得控除が差引かれますので、お得になるのです。

 これが縮小されれば直接的に家計に響きますね。

【生徒】

 せっかく暖かくなってきたのに、フトコロは寒くなる一方・・・

【先生】

 さて、現金主義のお話に入りましょう。前回は現金主義の具体的な中身につい

て見てきました。

 経理処理で現金主義を採用している場合、消費税についても課税資産の譲渡等

や課税仕入れを行った時期を現金主義に基づいて行うことができます。

【生徒】

 ここでもやっぱり「できる」なんですね。

【先生】

 そうです。しなくてもよいのです。その場合は原則通りとなります。

 さて今回はこの現金主義の特例を受けないこととなった場合についてお話します。

 現金主義は一定の要件を満たした小規模の個人事業者についてのみ認められ

ていますので、要件から外れれば当然適用できなくなるわけです。

【生徒】

 適用ができなくなるんだから、現金主義でやってた処理からの調整が必要になる

んですね。

【先生】

 まずは売上について。

 規定では、

1.現金主義の適用を受けないこととなった課税期間初日の前日 つまり現金主義

 の適用を受けていた課税期間の最終日における売掛金などの債権額の合計額

から

2.現金主義の適用を受けることとなった課税期間の初日の前日 つまり現金主義

 の適用が認められることとなった直前課税期間の最終日における売掛金等の額

 の合計額

を差引いた残額を、1の日において売り上げたものとみなされます。

【生徒】

 なんかちょっとわかりにくい・・・

【先生】

 つまり発生主義と現金主義の差を埋めようというものです。

 まず現金主義の適用を受けていた期間は、売掛金つまり未入金部分は売上と

して認識していなかったので、その売掛金を売上として計上する必要があります。

これが1にあたる部分です。

 但し、その売掛金の中に、以前の現金主義の適用を受けていなかった期間の

売上が入っていれば、その部分は以前に計上済みなので控除してあげないと

いけない、ということです。これが2にあたる部分です。

【生徒】

 それで1から2を引くわけですね。

【先生】

 そうです。

◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為