週刊なるほど!消費税

譲渡等・仕入等の時期(11)
長期割賦販売等

第117号 2005/03/28

【先生】

 万博あり、サッカーあり、フジvsライブドアも盛り上がっていますが、地味な

話題を一つ。

 某有名漫才コンビが国税局から申告漏れを指摘されました。重加算税まで

取られたということですから、かなり悪質な所得隠しと認定されたようです。

【生徒】

 It goes nowさんとIt comes nowさんのコンビですね。

 なんでも領収書をもらっていない経費があるとして2千万円ほど架空費用

を計上していたとか。

【先生】

 その二人によるコメントとして「税理士に任せきりにして、内容を把握する努

力を怠っていました」とあったそうです。

 よく使われるフレ-ズではありますが疑問符がつきます。当事者間でのやり

取りは知る由もありませんが、税理士が勝手に「領収書をもらっていないことに

して経費を立てよう」などとすることは考えにくいです。

 本人達から「領収書をもらっていない経費があるから入れてくれ」と言われて

入れるというのが順当な考え方ではないでしょうか。

 まぁ通常領収書が無い経費は特別の事情が無い限りそもそも計上しません

けどね。

【生徒】

 もし税理士が架空経費を計上しようとしても、本人達に話くらいはしますよね。

個人的な旅行や宝石まで経費としてたらしいから、自分達は知りませんでした

みたいな態度はどうかと思うなぁ・・・

【先生】

 仮に税理士の側からそんなことを言ったとしたら免許停止は免れないですね。

脱税指南なわけですから。

 さて前置きが長くなってしまいましたが本題に入りましょう。長期割賦販売等

について、今回が最後のお話になります。

 まず、前回は合併があった場合についてお話しましたので、今回は分割が

あった場合について見ていきましょう。

【生徒】

 もしかして分割も合併とあまり変わらないんじゃないですか?

【先生】

 そうですね。一番の違いは合併では法人が消滅する場合がありましたが、

分割では消滅する場合は存在しないということでしょうか。

 それ以外は、事業を承継した法人に対する規定ということで、合併の場合と

同様です。

 まず長期割賦販売等に係る事業を承継した法人が、引続き延払基準により

経理した場合には、そのまま延払基準の方法が適用できます。

【生徒】

 そしたら、延払基準の適用をやめた場合や延払基準により経理しなかった

場合には、未回収の部分を全額計上しないといけないというのも同じですね。

【先生】

 そうです。

 課税事業者の事業を免税事業者が引き継いだ場合、免税事業者の事業を

課税事業者が引き継いだ場合も同様です。

 それぞれ引継ぎ日現在の未回収額を、承継させる側の法人が全額認識す

ることになります。

【生徒】

 一つのパターンとして覚えていれば楽ですね。

【先生】

 長期割賦販売等の最後にちょっと変わったお話をしましょう。

 長期割賦販売で販売していましたが、相手方が代金をきちんと支払わない

ため、途中で契約を解除して販売した商品を取り戻す、という場合です。

【生徒】

 貸倒の前に商品を取り返してきたってことですね。

【先生】

 まず売上ですが、延払経理を採用していれば、回収期限が到来した分のみ

売上計上していればいいですので、解除日以降の分については売上とする

必要はありません。

 また取り戻した商品ですが、その取り戻した時におけるその資産の価額で

仕入れたものとみなして取り扱うことになります。

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