週刊なるほど!消費税

納税義務(5)

第86号 2004/08/02

【先生】

 8月に入りました。台風が真西に進むという不思議な現象がおきてますが、

いよいよ夏本番です。

【生徒】

 きっとこの前ゴキブリを叩き潰した崇りだ。間違いない。そのうち太陽が

西から昇るかも。。

【先生】

 そうしたら日の没する国になってしまいますね。

 さて、基準期間の課税売上高についてお話していますが、基準期間つま

り個人事業者であれば前々年、法人であれば前々事業年度の課税売上高

で、当期の納税義務を判断するというのはいいですね?

【生徒】

 はい。大丈夫です。

 法人の場合は基準期間が1年未満なら1年分に換算するんですよね。

【先生】

 そうです。前回お話しましたね。

 今回は換算する際の、ちょっと細かいお話をします。

 実は法人の場合、前々事業年度が1年未満の時の基準期間は次のように

規定されています。

『判定すべき課税期間である事業年度開始の日の2年前の日の前日から同

日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間』

【生徒】

 こりゃまたわかりずらいですね。

【先生】

 実際の日付で見てみましょう。

 H14/10/1に設立した3月決算法人です。

 第1期目はH14/10/1からH15/3/31

 第2期目はH15/4/1からH16/3/31

 第3期目はH16/4/1からH17/3/31

 となります。

 3期目の納税義務を判定しようとします。前々事業年度は第1期ですが6ヶ月

しかありませんので上記の規定が適用されます。

 判定すべき課税期間である事業年度開始の日→H16/4/1

 2年前の日→H14/4/2 の前日→H14/4/1

 同日以後1年を経過する日→H15/3/31

 つまり、H14/4/1からH15/3/31までに開始した各事業年度を合わせることに

なります。

 するとその間に開始しているのは第1期だけというのが分かります。その

ため、第1期の課税売上高をそのまま12ヶ月に割り戻せばOKということです。

【生徒】

 なんでこんなわかりずらい規定にしているんですか?

【先生】

 それは次のような場合を考えればわかります。

 H14/10/1に設立した12月決算法人です。

 第1期目はH14/10/1からH14/12/31

 第2期目に3月決算へ事業年度を変更しました。

 H15/1/1からH15/3/31

 第3期目はH15/4/1からH16/3/31

 第4期目はH16/4/1からH17/3/31

 まず第3期目を見てみましょう。前々事業年度は第1期ですが、1年未満です

ので上記規定が適用されます。

 すると基準期間はH13/4/1からH14/3/31までに開始した各事業年度となり、

設立前となってしまいます。この場合基準期間無しとして納税義務はありません。

【生徒】

 ほえー。無しになるんですか。

【先生】

 次に第4期を見てみましょう。前々事業年度は第2期ですが同じように1年未満

です。

 基準期間を判定すると、H14/4/1からH15/3/31までに開始した各事業年度と

なり、第1期及び第2期が該当します。

 この場合は第1期の課税売上高+第2期の課税売上高を、第1期第2期を通算

した6ヶ月で割り、それに12ヶ月をかけて1年分に割り戻します。

【生徒】

 あらら・・・単純に前々事業年度ってことにはならないんですね。

【先生】

 理由は期間を見てもらえればわかると思いますが、法人は事業年度の決め方に

よっては、前々事業年度が2年前にならない場合があるのです。個人事業者は

必ず2年前ですので、その整合性を保つためなんですね。

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