週刊なるほど!消費税

納税義務(2)

第83号 2004/07/12

【先生】

 暑い日が続きます。梅雨は一体どこへ行ってしまったんでしょうか。

【生徒】

 山のあなたの空遠くって感じですね。梅雨が去ってもシアワセが来る

わけではないですが・・・

【先生】

 さて前回に引続き納税義務のお話です。実際にどんな事業者が免税

事業者となれるのか、という話の前にまずは用語の解説をしましょう。

 消費税ではよく「課税期間」という言葉が出てきます。この「課税期間」

とは簡単に言うと消費税の納税額を計算する期間のことです。

 例えば個人が3/15に確定申告するとき、前年の暦年(1/1から12/31

まで)で集計して申告します。法人の場合は事業年度ごとですね。

 事業自体は継続的に変わりなく続いていくものですが、申告する際は

便宜的に期間を区切って集計していきます。

 消費税ではこの期間のことを「課税期間」と呼んでいるのです。

 呼び方こそ違いますが、実際には所得税や法人税の集計期間つまり

暦年・事業年度と一致しています。

【生徒】

 なんか紛らわしいなぁ・・・

【先生】

 この課税期間には「短縮」という消費税独自の制度がありますので、

言い方を変えているのかもしれませんね。課税期間の短縮については

後日説明します。

 今のところは課税期間=法人の事業年度、個人事業の暦年と覚えて

おいて下さい。

【生徒】

 はーい。

【先生】

 それでは実際の納税義務についてですが、

 「その課税期間の基準期間における課税売上高が1千万円以下の事

業者については、その課税期間中に行った課税資産の譲渡等について

は納税義務が免除される」

 ということになっています。

【生徒】

 なんかまた見慣れない文言が入っていますが・・・・

【先生】

 一つ一つ解説していきましょう。

 まず個人事業者や法人が「今年(今事業年度)は消費税の納税義務

は免除されるのかな?」と考えたとき、基準期間における課税売上高を

見る必要があることを上の文章は示しています。

【生徒】

 そこですね、一番の問題は。基準期間の課税売上高とは何ぞや・・・

【先生】

 基準期間というのは文字通り基準となる期間のことで、個人事業者

であれば前々年、法人であれば前々事業年度です。

 課税売上高というのは、売上のうち課税取引となるものです。

 つまり、個人事業者であれば2年前の課税取引となる売上高、法人

であれば2事業年度前の課税取引となる売上高ということになります。

【生徒】

 課税取引の売上ですよね。だと非課税と不課税は除かれて、免税と

課税が含まれるということかな?

【先生】

 そうです。免税取引は税率0%の課税取引と考えますので、課税売上

となります。

 またここでいう売上は、通常の売上高とはちょっと違います。

 例えば車を売った場合、経理上は帳簿に載っている車の簿価と売却

代金との差額を売却損あるいは売却益として計上するだけで、売上高

が計上されることはありません。

 ですが消費税を考える際には売却代金全額が売上として認識されます。

 簿価20万円の車を5万円で売ったとしましょう。

 会計上は (借方)現金  5万円   (貸方)車 20万円

           売却損 15万円

 となります。売上はどこにも計上されませんね。

 一方消費税では、売却代金の5万円が課税売上として認識されます。

【生徒】

 帳簿に載ってる売上だけ見ててはダメなんですね。

【先生】

 帳簿上の売上高についても注意が必要です。それは次回お話しましょう。

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