週刊なるほど!消費税

免税取引(3)
輸出取引等

第75号 2004/05/17

【先生】

 夏も近づく八十八夜からだいぶ経ち、気温も高くなって夏が一歩一歩

迫ってきてますね。

【生徒】

 でも夏の前に梅雨が来ます。キライなんです。ジメジメムシムシ・・・

【先生】

 東京は特に湿気が多いですからね。

 さて輸出取引等ですが、前回は本邦からの輸出として行われる資産の

譲渡又は貸付でした。

【生徒】

 輸出したっていう証拠書類を残さないといけないんですよね。

【先生】

 そうです。それは他の輸出取引等についても同様です。

 今回はまず外国貨物の譲渡又は貸付についてです。

【生徒】

 外国貨物?

【先生】

 外国から日本に到着した貨物で輸入許可がおりる前のもの、及び外国

へ輸出する貨物で輸出の許可を受けたものを「外国貨物」と言います。

 簡単に言うと保税地域にある貨物ということですね。

【生徒】

 保税地域?

【先生】

 通常物品を輸入しようとすると、引取りの際に関税がかかりますよね。

消費税もこのとき関税と合わせてかかるのですが、日本国内にありな

がらこれらの税金がかからない地域があります。これが保税地域です。

 一般的には荷揚げしたけどまだ検査前等の理由で輸入許可の下りな

い貨物を保管していたりする場所です。輸入許可前に税金がかかると、

そのまま返品される貨物などは税金の取られ損になりますからね。

 また美術品の展示会場が保税地域に指定されることもあります。海外

からの美術品は、展示した後は返却されることが決まっていますから、

そのたびに税関通して税金がかかってというのは大変です。展示場を

保税地域としてしまえば、税金はかかりません。

【生徒】

 へぇ・・・うちの区だけ丸ごと保税地域にならないかなぁ・・・

【先生】

 この外国貨物の譲渡又は貸付は免税取引となります。理由はわかり

ますよね。税金のかからない保税地域で譲渡・貸付しても、消費税は

免除してあげようという趣旨です。

【生徒】

 それじゃぁ外国貨物を買って、輸入許可が下りる前にすぐ売却しちゃ

ったような時には・・・

【先生】

 買ったときも売ったときも免税取引です。

【生徒】

 なるほど・・・でも外国貨物って保税地域に荷揚げしたものですよね?

まだ太平洋の船の中なんていう場合はどうなるんですか?

【先生】

 当然外国貨物ではありません。但し特殊な規定があります。

 まず商品が船の上にあって手元に無ければ、商品そのものの譲渡は

できませんよね。ですが船荷証券を譲渡すれば商品そのものを譲渡した

ことと同じ効果となります。

【生徒】

 船荷証券?

【先生】

 船荷証券とは、運送人が運送品の受け取り又は船積みを証し、指定港

において証券の正当所持人に引き渡すことを約する有価証券です。つまり

運送する人が、商品を運送して引き渡すことを約束した証券ですね。

【生徒】

 あれ?でも有価証券の譲渡って確か非課税になるんじゃ・・・

【先生】

 確かに有価証券の譲渡は非課税取引ですが、この船荷証券は非課税

となる有価証券からは除かれています。他に貨物引換証や倉庫証券も

同様です。

 船荷証券を譲渡すれば、商品自体を譲渡したことと同義となり、譲渡時

に商品が遥か海の上であれば、国外取引と考えられます。

 ですが、証券の譲渡時に保税地域に荷揚げ済みか未だ海の上かは特定

が困難です。そこで、船荷証券に表示された荷揚地が日本であれば、外国

貨物の譲渡つまり免税取引として扱うことが認められています。

 但し、譲渡した船荷証券の写しを保存しないといけません。

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