週刊なるほど!消費税

ちょっと寄り道 -総額表示-

第69号 2004/04/05

【先生】

 4月に入り、真新しいスーツの若い人を多く見かけるようになりました。

【生徒】

 タダでさえ満員電車なのに、この時期倍率ドン・さらに倍みたいな感じで。

密着度も120%増量中。

 でもだんだん元に戻るのはなぜだろう・・・

【先生】

 会社辞める人が多いからでしょうね。 

【生徒】

 ・・・夢も希望も無い言い方だなぁ・・・

【先生】

 現実問題として嫌な会社にいつまでもしがみつく必要はないでしょう。

・・・まぁ単なるワガママと紙一重なところはありますが・・・

 さて、今回はちょっと寄り道して、TOPICなお話をしましょう。

【生徒】

 ここまできて寄り道ですが?もうちょっとで非課税取引が終わるのに・・

【先生】

 最近マスコミでもよく取り上げられている総額表示の問題です。

 我々の生活に直結するので重要なところですよ。4/1スタートですから

早めに取り上げた方がよいでしょう。

【生徒】

 そういえばさかんにやってますね。コンビニとか、なんか値上がりした

みたいでイヤなんですよね。

【先生】

 実際に値上がりもしますし、逆に値下がりもします。

 まず総額表示の概要ですが、一般に表示される価格を消費税込みの

金額表示に統一しようということです。今までは税込表示か税抜表示か

は任意でしたからね。

 対象となるのは一般に表示される価格ですので、例えば店頭表示価格

やパンフレット、チラシ、ホームページ、メニュー表などが消費税込の表示

となります。

 特定の個人のみに表示される見積書や請求書、領収書等は対象に

なりません。

 また、事業者間の取引も対象外です。あくまで一般消費者向けに表示

される価格のみです。

【生徒】

 それじゃ小売業と飲食店がメインになるのかな。

【先生】

 そうですね。前回取り上げた旅館業や、駐車場・オフィスの賃貸なども

あてはまります。

 ですが例えば建設用機械の販売のように、対象を事業者に限定して

販売していなくても実際上事業者しか買わないようなものは、総額表示の

対象からははずれます。

【生徒】

 なんで今更総額表示なんだろう・・・面倒なだけじゃないのかな?

【先生】

 消費税込にすることによって、支払い総額が一目で分かるように、という

のが趣旨らしいですが、税率UPしやすいようにという目的もあるでしょうね。

 実際内税になっている税金はガソリンやタバコがありますが、いったい

幾らが税金分か一般の人にはわからなくなってますからね。

【生徒】

 なんかこすっからい感じ。

【先生】

 それから現在一番問題となっているのが端数処理です。

 たとえば税抜50円のものがあります。それを10個買った場合には、今まで

50×10×1.05=525円をレジで支払っていました。

 ところが総額表示では50円×1.05=52.5円を価格表示しなければいけ

ないことになります。この0.5円をどうするか。切り上げれば消費者負担つまり

値上げですし、切り捨てれば販売側負担で値下げです。

【生徒】

 切り上げて53円にすれば、53×10=530円支払うことになって、切り下げ

れば52×10=520円支払うことになるのか。

 量が多いと負担もばかにならないなぁ。

【先生】

 表示を替える作業自体もかなりの負担です。

 例えば本や雑誌は元々経常的に膨大な在庫を抱えているので、税率が変わる

たび表示を替えるとなると、それだけでとんでもない手間と費用がかかるため、

現在は「1,000円+税」という表示が多いのですが、総額表示ではこれは認め

られません。

 死活問題になりかねないところでしたが、とりあえず短冊に総額を表示すれば

OKということにはなりました。それでも半端な作業ではないですね。

【生徒】

 どこもタイヘンだなぁ・・・

 もし違反したときには罰則とかあるんですか?

【先生】

 今のところ消費税法での罰則はありません。但し、税抜表示のままにしておいて、

それが税込表示と誤解されるようなものであれば、景品表示法違反で指導され、

それに従わなければ罰則、という可能性もなきにしもあらずです。

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