週刊なるほど!消費税

資産の譲渡等(9)

第18号 2003/03/31

【先生】

 前回は保険金と損害賠償金について話しました。

 今回は前払金・前受金について見ていきましょう。

 前払金とはどういうものかわかりますか?

【生徒】

 前払金・・・前に払うお金。

【先生】

 まぁ、間違いではないですけど・・

 つまり物やサービスの提供を受ける前にあらかじめ払っておくお金のことです。受け取った側では前受金となります。

 ではこの前払金(前受金)は資産の譲渡等になるでしょうか?

【生徒】

 難しいですね・・

 前払金も対価を先払いしているってことだから、資産の譲渡等になる?

【先生】

 結論から言うと資産の譲渡等にはなりません。

 前払金は先にお金を払っただけで、まだ資産の譲渡や役務の提供を受けていません。役務などの提供を受けて初めて払ったお金が対価となります。

 経理を知っている人はその処理を考えるとわかりやすいでしょう。

 お金を払った時には前払金ですが物や役務の提供を受けたときにはその前払金の金額を費用や資産に振替えます。

 振替えたときに初めてこの取引は資産の譲渡等となります。

 前受金もお金をもらったときには前受金ですが、物や役務の提供をしたときにはその前受金の金額を売上等に振替えます。

 売上となったときにこの取引は資産の譲渡等となります。

【生徒】

 なるほど。確かにそうしないと、後でキャンセルして前払いのお金戻ってきたときとか、訳分からなくなりそうですもんね。

【先生】

 前払・前受でも、内容によっては注意が必要です。

 例えばキャンセルしてもお金が戻ってこない、あるいは返す必要がないようなものでしたら、場合によってはお金を払ったとき又は受け取ったときに資産の譲渡等となる場合があります。

【生徒】

 やっぱりこれも実体を見てということですか?

【先生】

 そうです。

 この場合、キャンセルしたことに伴うキャンセル料や賠償金でしたら前回やったように資産の譲渡等にはあたらないでしょう。

 ただし名目がキャンセル料だとしても、内容によっては対価性があると認められるものであれば、資産の譲渡等になります。

【生徒】

 名目でごまかそうとしてもダメということですね。

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