週刊なるほど!消費税

事業の範囲(2)

第7号 2003/01/13

【先生】

 遅ればせながら明けましておめでとうございます。

 本年も宜しくお願いします。

【生徒】

 お願いしまーす。

【先生】

 では早速始めていきましょう。

 去年の最後は「事業の範囲」について話しました。

 ちょっと時間があいてしまいましたが、覚えていますか?

【生徒】

 確か会社の行った取引は全部事業になって、個人事業者の行った取引は場合分けが必要になるんでしたよね?

【先生】

 そうです。

 個人事業者では、反復・継続性などを判断基準に、事業かそうでないかを見分けます。

 ちょっと例を出してみましょう。

 新しく酒屋を開いた個人事業者が、「開店セール!」のチラシを駅前で配りました。

 酒屋さんなので、チラシを配ることを事業にしてるわけではないですし、開店セールなので当然1回きりです。

 これは果たして事業でしょうか?

 【生徒】

 うーん・・・1回きりと言っても、酒屋の宣伝なんだから、事業にならないとおかしい気が・・・

【先生】

 そうですね。もちろん事業です。

 その性質上、事業に付随して行われるものは付随行為と言って事業になります。

 上記例ですと、お酒の販売という行為そのものではないですが、販売のための宣伝行為ですので、付随行為として1回限りでも事業となります。

【生徒】

 なんか事業かどうかの線引きが難しくなりそうですね。

【先生】

 現在個人事業を営んでいる人であれば、逆にイメージしやすいのではないでしょうか?

 確定申告のときに事業として申告している売上・経費が、つまり消費税の対象になる事業ということです。

【生徒】

 なるほど。

【先生】

 もう一つ、事業かどうかの重要な判断基準があります。

 それは家計に属する行為かどうかということです。

【生徒】

 家計・・・自分の生活に関するものということですね。

【先生】

 自動車を購入する場合を考えて下さい。

 お酒を配達するためにミニバンを購入しました。これは事業の付随行為ということで、事業の範囲に含まれます。

 自家用車でBMWを購入しました。これは事業に関係ない家計に属する行為ですので、事業の範囲に含まれません。

【生徒】

 BMWとはなんてお金持ちな人・・・

 それでは買った自動車を事業と個人両方で使うという場合にはどうなるんですか?

【先生】

 当然個人で使う分は事業ではありません。

 実務的には事業と個人の使用割合を見積もって、消費税分をその使用割合で按分する、ということになります。

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