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仮想通貨って?

第287号 2018年4月

1.はじめに

コインチェックの仮想通貨流出事件には驚かされました。詐取した人物が最終的に特定されないのも驚きです。この仮想通貨について分かりやすい説明がありましたので紹介いたします。

2.ブロックチェーン

代表的な仮想通貨であるビットコインを例にします。ブロックチェーンとは、ビットコインの取引内容が記載された台帳です。つまり、A さんから B さんに1ビットコインを送ると、その内容が台帳に記録されます。その取引を記録した台帳1枚をブロックと言います。このブロックは、時間とともに1枚ずつ増えて行って、ブロック同士は、鎖のように繋がって増殖します(ブロックチェーン)。

3.ブロックの増やし方

ブロックは誰でも増やせますが、増やすにはとてつもない機器と電力を必要とします。ブロックを増やそうとする人は、スロットマシンのレバーを引いて、ランダムに出て来た数字をブロックに書き込んで、ひたすら当たりを引き当てるイメージです。

当たりが出ると、新しいブロックが作成され、それ以前のブロックに記録された情報がそのまま引き継がれブロックは増殖します。この当たりを出す作業を検証と言います。

当たりを出して新しいブロックの検証に貢献した人には、報酬としてビットコインが与えられます。この報酬を得るための活動を、貴金属を発掘する作業になぞられてマイニング(採掘)と言っています。

4.長いブロックチェーンが正しい

ブロックの検証は誰でもできますので、複数のブロックチェーンができることあります。

ブロックの検証

しかし、検証には相応の機器と電力を使用して行うため、本流から新たに派生した□や▲のブロックの検証作業より、本流の■の検証に多数が参加してブロックが増殖していくため、□や▲のブロックチェーンは消滅していきます。この仕組みによりビットコインの台帳が複数作成されることが防止され、2 重使用も防げることになります。

5.偽造防止ができる

ビットコインの取引が記録されたブロックの内容を書き換えて新たなブロックを作成するとします。しかし取引が偽造されたブロックは、検証の手続きで本流に残ることはできず、□や▲のように派生したブロックチェーンとなり消滅する運命になります。

6.注目されるブロックチェーン

このようにブロックチェーンは、ビットコインの不正取引を防止するためのものですが、様々な分野での応用が期待されています。ブロックチェーンの持つ改ざんの困難性やゼロダウンタイム(システムやサービスが停止しない)という特徴から、信頼性の高い安定したシステムを低コストで構築することができるため、金融取引や資産管理、公共サービスでも活用しようとする動きがあるようです。

週刊税務通信 3496 号「仮想通貨をめぐる税務と法務」参照

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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