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アトラスNEWS ~Monthly 税務・経営・節税情報~

あの東芝が

第275号 2017年4月

1.はじめに

東芝が危機に立たされています。シャープやソニーと違って、東芝や日立は家電製品などの軽電部門の他にプラントや原発などの重電部門があるから、経営は安泰であると言われていました。しかし、その重電部門の要である原発事業でこれほどまでになるとは誰が想像したでしょう。

2.上場廃止基準

東芝は証券取引所の1部に上場しています。証券取引所に上場していると、信用力が付くのはもちろんのこと、証券市場で株式を発行することにより、広く資金調達ができるメリットがあります。この上場が強制的に廃止になる上場廃止基準という制度があり、その一つに債務超過があるのです。債務超過とは保有する財産より借金の方が多くなる状態で、東芝はこの3月決算で確実に債務超過になります。そして、この債務超過の状態を1年以内に解消しないと上場廃止基準に抵触して上場廃止となります。ですから、東芝はなりふり構わず稼ぎ頭の半導体部門も売却して、1年以内に債務超過を解消しようとしているのです。

3.そもそも東芝の不正会計とは?

東芝の崩壊は、およそ2年前に発覚した会社ぐるみの不正会計が発端です。長年にわたり、長期間かかる工事の利益を前取りしたり、業者に協力させて広告宣伝費や物流費の計上が後の期に計上されるようにさせたり、もうまともには販売することができない在庫の評価について評価損を計上しなかったりする手法で利益を作り上げて来ました。そして一番大きな不正会計は、仕入れたパソコンの部品を仕入価格の4~8 倍の値段で台湾の組み立て会社に売却して多額の利益を出していたことです(後で完成品を買い戻す契約です)。

4.監査法人も見抜けなかった

監査法人とは、企業が作成した決算書の正確性を監査して「この決算書は正しい」と意見表明する存在です。東芝の監査をしていたのが新日本監査法人で、21 億円の課徴金と3 カ月の新規契約の禁止という業務改善命令が出ました。そして、この東芝問題から新日本監査法人のクライアントの契約解除が止まらず、これによる損失の方が重いペナルティーとなってしまいました。

5.企業ぐるみの不正会計は見抜けない

東芝のようなグローバル企業を監査法人が監査していても、トップから指示の出る企業ぐるみの不正会計を見抜くのは困難です。私も監査法人に勤務している時代に、大手商社などの上場会社を監査していましたが、企業ぐるみで不正会計をやられたら、それを発見することは困難であるというのが実感です。不正をする方も、それなりの準備をしますから。

6.PwC あらた

東芝の2016 年4~12 月期の四半期決算が、現監査法人であるPwC あらたの監査意見が付されないまま発表されるという異例の事態になりました。新日本監査法人の先例があることから、PwC あらたも監査意見の表明に慎重になることは分かります。しかし、監査意見の付されていない決算発表が行われてしまうのも、大問題というほかありません。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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