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平成28年度税制改正大綱

第259号 2015年12月

1.はじめに

消費税の軽減税率の対象品目が決まり、12月16日に平成28年度の税制改正大綱が発表されました。

平成29年4月からの消費税率アップが改正の目玉で、法人実効税率も平成28年度から20%台に低下します。

2.空き家の譲渡に係る特例制度の創設

相続時までに故人だけが住んでいた空き家になった家屋及び土地を、相続した人が平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合には、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用することができます。つまり、3,000万円までの譲渡所得に税金はかからないことになります。

3.三世代同居改修工事の特例の創設

同居するために台所、浴室、トイレ、玄関のいずれか2箇所以上(浴室とトイレなど)が増設されて複数になる工事を行った場合に、一定額を所得税から控除する特例です。平成28年4月1日から平成31年6月30までにした工事が対象となります。

4.スイッチOTC薬医療費控除の特例

スイッチOTCとは、医師の処方箋によらなければ使用できなかった医薬品の中から、使用実績があり副作用の心配が少ないなどの要件を満たした医薬品で、薬局等で処方箋なしで購入できるように一般用医薬品として認可したものです。平成29年1月1日から平成33年12月31日までに、このスイッチOTC医薬品を購入した場合、1万2千円を超える額(8万8千円が上限)を所得金額から控除することができます。

5.通勤手当の非課税限度額アップ

現行月額10万円の通勤手当の非課税限度額が月額15万円に、平成28年1月1日から引き上げられます。

これにより新幹線通勤の非課税での範囲が拡大されます。東京-三島間が静岡まで伸び、東京-小山間が那須塩原まで伸びることになります。

6.国民健康保険税の限度額アップ

国民健康保険の保険料の上限が4万円引き上げられました。所得の高い世帯では保険料の負担が増えることになります。

7.法人税率の引き下げ

現行23.9%の法人税率を平成28年4月1日以後開始する事業年度については23.4%、平成30年4月1日以後に開始する事業年度については23.2%と、段階的に引き下げます。平成10年当時の法人税率は34.5%でしたので、法人税率もかなり引き下げられました。

8.減価償却制度

平成28年4月1日以後に取得する建物付属設備及び構築物の償却方法は、定率法が廃止され、定額法だけになります。

耐用年数が15年の給排水設備とガス設備を1千万円で取得した場合、定率法では初年度年額133万円の減価償却費を計上できますが、定額法では67万円しか計上できません。

9.欠損金の繰越控除の改正

法人の欠損金は、翌年以降に繰り越してその間の利益から控除することができますが、資本金1億円超の大法人は、以下の通り利益から控除する繰越欠損金額に制限が掛けられます。資本金1億円以下の中小法人にはこの制限はありません。

事業年度開始日 控除限度割合
H27.4~H28.3 65%
H28.4~H29.3 60%
H29.4~H30.3 55%
H30.4~ 50%

また、欠損金を繰越せる期間が平成30年4月1日以後開始する事業年度から、現行の9年が10年に延長されます。この繰越期間の延長は資本金1億円以下の中小法人も対象となります。

資本金が1億円以下だと法人税率も所得800万円までが19%、上記のような欠損金の繰越も有利であることから、吉本興業のように資本金を125億円から1億円に減資することも起こるわけです。

10.法人事業税の改正

資本金1億円以下の中小法人については法人事業税の税率は下がりますが、資本金1億円超の大法人については、増税となります。大法人であれば、赤字であっても事業税が今まで以上に課税されるようになります。平成28年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。

11.自動車取得税の廃止

消費税率が上昇する前日である平成29年3月31日をもって自動車取得税は廃止されます。自動車税と軽自動車税は名称と制度が変わり、車両の環境性能により税額が決まるようになり、電気自動車や水素自動車の普及を後押しします。

12.外国人旅行者向け免税制度

外国人旅行者が輸出物品販売場で購入する消費税免税対象物品の下限額を、一般物品5千円以上(現行は1万円超)、消耗品5千円以上(現行は5千円超)に引き下げられます。

13.クレジットカード納付制度の創設

インターネットを利用してクレジットカードで国税を納付することができるようになります。

14.消費税の軽減税率制度

平成29年4月1日から消費税率が10%になりますが、一部の品目に8%の軽減税率が適用されることとなりました。

軽減税率の対象となる品目は、酒類と外食を除く飲食料品すべてと、定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞です。

15.経理処理が大変

消費税率が10%と8%の2つとなり、経理処理も間違いなく煩雑になります。

新聞の駅売りは10%で配達だと8%。店内で食べると10%でテイクアウトだと8%。

売上や仕入に含まれる8%と10%の区分も、平成33年3月までは複数のやり方が認められ、どの方法が一番節税になるかで大騒ぎになることが予想されます。

平成33年4月からはインボイス方式が導入されますが、それもまた慣れるまで大変なことになるでしょうね。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士・行政書士 井上 修
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