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社会保障・税一体改革

第212号 2012年1月

1.はじめに

社会保障と税の一体改革の素案が発表されました。これから与野党において協議され、最終的にどのように決着するのかは今現在定かではありませんが、この素案の税制改革の内容について説明します。

2.消費税率の引上げ

現行5%の消費税率を平成26年4月1日より8%に、平成27年10月1日より10%に引上げられます。

3.事業者免税点制度

資本金を1,000万円未満にして法人を設立すると、最大で2年間消費税の申告と納税が免除される事業者免税点制度があります。この制度の悪用が相次いだため、次のような措置が講じられています。

5億円超の消費税のかかる売上高がある事業者が直接的・間接的に資本金の50%超を出資して設立した法人については、資本金額にかかわらず設立当初から消費税が課税されます。

この改正は、平成26年4月1日以後に設立される法人について適用されます。

4.簡易課税制度のみなし仕入率

前々年度の消費税のかかる売上高が5,000万円以下の事業者に対しては、簡便的に消費税の納税額を計算できる簡易課税制度というものがあります。簡易課税制度とは、5つの業種ごとに定められたみなし仕入率を「預った消費税」に乗じることにより簡便的に「支払った消費税」を計算する方法です。

実際の「預った消費税」が200万円で、「支払った消費税」が140万円である小売業者が納税する消費税額は、200万円-140万円=60万円となります。

一方、簡易課税制度で納税額を計算すると、小売業者のみなし仕入率は80%ですので、「預った消費税」は200万円で同じですが、「支払った消費税」は200万円×80%=160万円と計算され、消費税納税額は200万円-160万円の40万円となります。

このケースですと簡易課税制度を選択した方が、60万円-40万円=20万円も納税額が安くなります。

このように、業種によってはみなし仕入率が実際の仕入率よりかなり高くなっている状況が確認されたことから、みなし仕入率の見直しを行うようです。

5.個人所得課税

現行の所得税率は6段階税率で、最低5%から最高は40%となっています。住民税率は10%ですので、所得税と住民税を合わせた最高税率は50%となります。

所得税率

課税所得 税率
195万円以下 5%
330万円以下 10%
695万円以下 20%
900万円以下 23%
1,800万円以下 33%
1,800万円超 40%

現在は上記のような税率となっていますが、この税率構造に加えて、課税所得5,000万円超については45%の税率を設けることになっています。個人住民税も含めると最高税率は55%になるわけです。

平成27年分の所得税から適用されます。

6.相続税の基礎控除

相続税の基礎控除とは、相続税額を計算する場合に総遺産額から控除できる金額です。基礎控除が次のように見直されます。

【現行】5,000万円+1,000万円×法定相続人数

【改正案】3,000万円+600万円×法定相続人数

法定相続人が3人の場合は、現行の基礎控除額は8,000万円、改正案では4,800万円となり、3,200万円も少なくなります。

7.死亡保険金の非課税限度

相続税の計算で、死亡保険金については非課税限度額が設けられています。

現行の非課税限度額は、法定相続人の人数に500万円を乗じた額ですが、改正案では、500万円に乗じる法定相続人は、未成年者と障害者又は被相続人と生計を一にしていた者に限られました。

8.相続税の税率構造

相続税率が次のように重くなります。

相続税率

相続財産 現行 改正案
1千万円以下の金額 10% 10%
3千万円以下の金額 15% 15%
5千万円以下の金額 20% 20%
1億円以下の金額 30% 30%
2億円以下の金額 - 40%
3億円以下の金額 40% 45%
3億円超の金額 50% -
6億円以下の金額 - 50%
6億円超の金額 - 55%

平成27年1月1日以後の相続に係る相続税について適用されます。

9.贈与税

直系尊属(父母、祖父母)から20歳以上の子や孫に贈与した場合の贈与税率と、それ以外の贈与税率が別々に定められました。

直系尊属からの贈与

贈与財産 現行 改正案
200万円以下の金額 10% 10%
300万円以下の金額 15% -
400万円以下の金額 20% 15%
600万円以下の金額 30% 20%
1,000万円以下の金額 40% 30%
1,000万円超の金額 50% -
1,500万円以下の金額 - 40%
3,000万円以下の金額 - 45%
4,500万円以下の金額 - 50%
4,500万円超の金額 - 55%

上記以外の贈与

贈与財産 現行 改正案
200万円以下の金額 10% 10%
300万円以下の金額 15% 15%
400万円以下の金額 20% 20%
600万円以下の金額 30% 30%
1,000万円以下の金額 40% 40%
1,000万円超の金額 50% -
1,500万円以下の金額 - 45%
3,000万円以下の金額 - 50%
3,000万円超の金額 - 55%

なお、相続時精算課税制度の適用要件に、20歳以上の孫を受贈者に追加し、贈与者の年齢要件を65歳以上から60歳以上に引き下げます。平成27年1月1日以後の贈与から改正されます。

10.テレビで放映される予定です

TBS「みのもんたのサタデーずばっと」1月21日(土)のAM5:45~7:30放送にチラッと私のコメントが出る予定です。早起きして見てください。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士・行政書士 井上 修
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