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裁判員制度と労務管理

第169_2号 2008年6月

1. はじめに

平成21年5月から裁判員制度が始まります。従業員が裁判員に選ばれると、従業員は会社を休んで裁判所へ行かなければなりません。

会社は、従業員が裁判員に選ばれたときの対応を、あらかじめ決めておかなければなりません。

2.裁判員に選ばれる人は

裁判員に選ばれるのは、20歳以上の有権者です。裁判員は、この有権者の中から、くじで選ばれることになります。

会社の社長も例外なく裁判員に選任される可能性があります。

3.裁判員になれない人は

20歳以上の有権者であれば裁判員に選任される可能性がありますが、次の人は裁判員にはなれません。

  • 国会議員
  • 弁護士や司法書士、弁理士
  • 自衛官
    など

4.裁判員を辞退できる人は

次のような一定の事由がある人は裁判員の辞退を申し立てることができます

  • 70歳以上の人
  • 事業場の用務を処理しないと著しい損害が生じるおそれがある人
  • 親族を介護、養育する必要がある人
  • 妊娠中、出産の日から8週間を経過していない人
    など

5.社内手続をどうするかを決めておく

裁判員の候補になると、裁判所から呼出状が届き、一定の場合を除き裁判所に行かなければなりません。

裁判所からの呼び出しがあったことは従業員本人にしか分かりません。会社には従業員が裁判所から呼び出しを受けたことの通知は来ません。したがって、従業員から急に「裁判所に行くから休暇をとらせてほしい」と言われる可能性があります。急な休暇申請は業務を混乱させることになりかねません。このようなときのためにも、あらかじめ、会社への届出のタイミングや手続きなどを決めておく必要があります

6.当日を休暇にするかどうかを決めておく

従業員が裁判所に行くために会社を休んだときには、その休んだ日をどのような扱いにするかが問題です。

有給休暇を取得してもらうのか、それとも公休日とするのかなどを事前に決めておきましょう

7.当日の賃金をどうするかを決めておく

従業員が裁判所に行った日について、従業員には日当が支払われます。日当の上限は1万円です。

従業員が裁判所に行った日を有給休暇とする場合には、会社は当然に給与を支払わなければなりませんが、公休日とした場合には有給にするかどうかは会社が自由に決められます

従業員が裁判所に行った日の給与をどのような扱いにするのかを事前にはっきりと決めておきましょう。また、日当と給与の兼ね合いも考慮しましょう。

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