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残業代の支払い義務

第163_2号 2007年11月

1. はじめに

賃金は毎月全額を支払わなければなりません。締め日や支払日、計算方法は就業規則や雇用契約書で定めます。賃金には、基本給や家族手当などの諸手当の他、残業代も当然含まれます。これらの賃金を毎月支払わないと賃金不払いになります。もっとも不払いを主張されやすいのが残業代で、最悪のケースだと、2年間分遡り請求されることがあります。

2.割増賃金を支払わなければならないのは

割増賃金を支払わなければならないのは、1日8時間を超える勤務や1週間で40時間を超える勤務(時間外勤務)、午後10時から午前5時までの深夜勤務、休日勤務についてです。例えば、1日に10時間働いたとしたら、8時間を超えた2時間については割増賃金を支払わなければなりません。

3.割増賃金の割増率は

時間外勤務については通常の賃金の25%増し、深夜勤務については25%増し、休日勤務については35%増しとなります。会社は従業員の勤務時間をしっかりと把握し、適正な割増賃金を支払わなければなりません。ちなみに、会社には従業員の勤務時間を管理する義務があります。タイムカードなどを使い、勤務時間管理をしっかりとしなければなりません。

4.年俸制の場合にはどうするか

年俸制の場合にも割増賃金の支払いが必要になります。年俸制であっても毎月残業時間を管理して、割増賃金を支払わなければなりません。年俸制を採用したから毎月の賃金額は一定で、割増賃金を支払わないといった賃金制度は間違いです。

5.管理職の場合にはどうするか

管理職の場合は割増賃金の支払いは不要です。しかし、ここで問題となるのが、「管理職」の定義です。どのような従業員が管理職にあたり、割増賃金の支払いが不要となるのかをしっかりと把握しなければなりません。管理職とは、経営者と一体となって業務に従事し、出退勤管理されることが馴染まない職にある従業員のことをいいます。ただ単に、「部長」や「課長」といった肩書きをつけるだけでは管理職とはいえず、割増賃金の支払いが必要になります。

6.労働時間制度を利用する

労働基準法には、裁量労働制やフレックスタイム制といった様々な労働時間管理方法が定められています。これらの制度を利用することによって、従業員は時間を無駄なく使うことができるようになります。また、会社にとっては、無駄な勤務時間を抑えることによって割増賃金の支払いを抑えることができるようになります。

7.おわりに

割増賃金の支払い方や労働時間管理の方法導入には、労働法令が関わってきます。法令に則った制度を作り上げていかなければなりません。当事務所には労務の専門家である社会保険労務士が在籍しております。導入の際にはぜひ当事務所にご相談ください。

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