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消費税の総額表示

第112_1号 2003年08月

1.はじめに

平成16年4月1日以後の取引から、事業者は一般消費者に対する価格表示を消費税を込みの価格でしなくてはなりません。これが消費税の総額表示です。この方が消費者にとって分かりやすいといったことが改正の理由のようです。なお、罰則規定はありません。

2.総額表示が義務付けられる事業者

全ての事業者に総額表示が来年の4月から義務付けられるわけではありません。総額表示が義務付けられるのは以下の全てに当てはまる事業者です。

①消費税の納税義務のある課税事業者
総額表示は消費税の納税義務者でなければ義務付けられません。
②価格を不特定多数の一般消費者に対して明示すること
特定の者のみに明示する見積書や請求書は対象となりません。
③あらかじめ価格を明示すること
飲食店やスーパーなどのように店内で価格をあらかじめ明示する場合が対象とされ、取引の後に交付される領収書は対象とされません
④事業者間の取引でないこと
事業者相手の価格は対象となりません。

3.総額表示の方法

本体価格が9,800円で消費税等が490円の場合の表示方法は以下のとおりです。

  • 10,290円(本体価格9,800円、消費税等490円)
  • 10,290円(うち消費税等490円)
  • 10,290円(本体価格9,800円)
  • 10,290円(税込)
  • 10,290円
  • 9,800円(税込10,290円)

以下のような表示は、総額表示としては認められません。

  • 9,800円(税抜)
  • 9,800円+税

消費税込みの金額を表示していませんので、認められないわけです。

4.単価や料率の扱い

100グラム200円の場合は100グラム210円、売買価格の3%の場合は売買価格の3.15%、一泊2日20,000円の場合は1泊2日21,000円というように表示を変更する必要があります。

5.総額表示の対象となる価格表示例

  • 飲食店のメニュー
  • テレビ、雑誌などを利用した広告
  • ポスター、ネオンサイン、看板など
  • 商品陳列棚、商品値札
  • ダイレクトメールやインターネットメールによる広告

6.最後に

 総額表示にすると確かに商品の表示価格と支払額が一致するために、分かりやすくなります。一方、将来の消費税率アップへの布石や、デフレへの対抗手段ということもあるのかもしれません。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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