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最低資本金規制特例

第106_1号 2003年02月

1.はじめに

現行の商法では、株式会社1千万円、有限会社3百万円の資本金の最低額が定められています。会社を起こすにも最低これだけの資金が必要であるということです。しかし、これではいいアイデアを持っていてもお金がなければ起業できません。

そこで平成15年2月1日から平成20年3月31日の間だけ最低資本金の特例を設けたのが、この最低資本金特例です。

2.「 1円」でも会社を作れます

資本金が1円でも株式会社、有限会社を作ることができます。しかし、会社設立から5年以内に増資して株式会社なら1千万円、有限会社なら3百万円の最低資本金を満たす必要があります。

3.創業者の要件が必要

この制度を利用して会社を作れるのは創業者の要件を満たす個人です。創業者とは「事業を営んでいない個人」です。

具体的には、サラリーマン、専業主婦、学生、失業者、年金生活者、法人の代表権のない取締役です。

個人で確定申告している人でも、事業所得の申告をしている人は創業者に該当しません。しかし、不動産所得(アパート経営など)を申告している人は創業者に該当します。

4.設立5年後にどうなる?

設立してから5年後までに増資をして最低資本金を満たせば会社はそのまま継続することになります。

しかし、5年後に最低資本金を満たせないと、会社は解散してしまいます。

それでは大変なことになってしまいますので、解散を回避するために有限会社や合名会社、合資会社に組織変更することもできます。

5.貸借対照表が公表されます

この特例を利用して会社を設立すると決算日後3ヶ月以内に決算書を経済産業局に提出することが必要で、決算書のうちの貸借対照表は公衆の縦覧に供されることとなり、誰でも見ることができます。

6.具体的な手続き

①類似商号の調査
本店所在地の登記所の管轄で、類似の商号がないかどうか調査します。
②定款の認証
公証人役場で定款の認証を受けます。
③資本金の払込
創業者の通帳に資本金を払い込みます。
④経済産業局への確認申請
確認申請書に定款と創業者であることの誓約書と創業者であることの証明書類(源泉徴収票や非課税証明書など)を添付して確認申請をします。
⑤設立登記申請
経済産業局の確認を受けたら登記所に確認書と払込があったことを証する書面(預金通帳の写しでOK)等を添付して登記申請します。
⑥会社成立の届出
設立登記が完了したら登記簿謄本を添付して、経済産業局へ届出ます。

あとは、事業を成功させてそのお金で5年内に最低資本金をクリアする増資をすればOKです。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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