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車両と消費税

第104_2号 2002年12月

事業区分とは消費税の簡易課税における事業区分のことです。事業区分の判定は消費税額等の負担に大きな影響を与えます。

1.車両の取得

車両の取得時にかかる消費税は、その取得時に一括して仕入税額控除されます。

かつて車両の取得などは2分の1簡便償却を利用する法人税の節税対策として有効でしたが、簡便償却が廃止されてその有効性も薄れてしまいました。しかし、この取得時の一括控除による消費税の節減対策としては利用できる余地があります。

車両の取得時に支払う自動車取得税等の租税公課は不課税取引(課税対象外)、自賠責保険料等は非課税取引となります。

〔仕訳例〕(税込み経理。以下同じ。)
借方 車両運搬具(課) 3,000,000
租税公課(不) 100,000
保険料(非) 20,000
貸方 現金預金 3,120,000

2.車両の売却

車両の売却(下取りを含む。)には売却益が出る場合と売却損が出る場合があります。

これらの売却にかかる損益は査定された売却価額(下取り価額)とその車両の帳簿価額(未償却残額)の差額により算出されます。

消費税の計算においては売却の損益がいくらであるかは関係ありません。いずれの場合においても査定された売却価額を課税売上とします。

〔仕訳例〕

①売却益の場合
売却価額 800,000
帳簿価額 500,000
借方 現金預金 800,000
貸方 車両運搬具(課) 500,000
固定資産売却益(課) 300,000
②売却損の場合
売却価額 100,000
帳簿価額 500,000
借方 現金預金 100,000
固定資産売却損(不) 400,000
貸方 車両運搬具(課) 100,000
車両運搬具(不) 100,000

貸方の車両の減少取引は税区分を分割して仕訳しないと正確な消費税の計算ができません。

3.車両の減価償却

車両等の減価償却資産は取得時で一括仕入税額控除されますから、毎期の減価償却費は不課税取引です。また税込経理と税抜経理では償却の基礎となる価額がその消費税分だけ違ってきます。

〔仕訳例〕

借方 減価償却費(不) 120,000
貸方 車両運搬具(不) 120,000
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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