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確定拠出金

第089_2号 2001年9月

景気の低迷、株価の下落、低金利という経済環境の中で危機に陥っている厚生年金基金などの確定給付型の企業年金に代わるものとして、日本版401Kといわれる確定拠出型の年金制度が平成13年10月から施行されることになり、すでに導入準備に入っている企業もあるようです。

1.確定給付型と確定拠出型

確定給付型とは将来受取ることのできる給付額があらかじめ決められているものです。将来、年金として決まった金額が受取れるのですから、こんなに安心なことはありません。しかし経済環境の悪化により見込んだ運用益が出ず、多くの企業で膨大な積立金不足が生じているようです。

そこでこの危機を解決するためにアメリカで実施されている企業年金制度の401Kにならった確定拠出型年金が日本でも導入されることになったのです。

確定拠出型とは拠出金すなわち掛金の金額が決まっていて、将来受取る給付はその掛金の運用しだいで変動するものです。

2.確定拠出年金のメリット

①企業が運用リスクを負わない。
確定給付型では将来の給付のための積立不足が生じれば企業が補てんをする責任がありますが、確定拠出型では加入者である従業員が運用方法を選択してそのリスクを負うことになります。
②加入者が運用の選択権をもつ。
確定拠出型ではその掛金の運用は加入者自身が金融機関の提示するいくつかの運用商品の中から運用方法を選択します。自分が選択した運用方法で将来の年金が増えたり減ったりすることになるのです。したがって、これがメリットとなるかデメリットとなるかは本人の取り組みしだいといえます。

3.確定拠出年金のしくみ

確定拠出年金には企業型年金と個人型年金の2種類があります。

①企業型年金
企業が銀行や生命保険会社などの金融機関と契約をして、委託を受けた金融機関がその企業の従業員に情報提供し、従業員は金融機関に運用指図をして金融機関に年金資産の運用管理を行ってもらいます。
拠出金すなわち掛金は企業が支払います。この制度の導入により原則として全従業員が自動的に加入者となります。
②個人型年金
自営業者や企業年金制度のない企業の従業員を対象とした確定拠出年金です。
個人型では国民年金基金連合会がこの制度の実施主体となり、自営業者や従業員個人が国民年金基金連合会を通して金融機関と契約をします。
拠出金は自営業者や従業員などの加入者自身が支払います。従業員の場合には企業に給与から天引きしてもらって連合会に払い込んでもらいます。

4.税制優遇措置

①拠出
企業が支払った掛金は損金算入となり、加入者が支払った掛金は所得控除となります。
②給付
給付については、年金として受給する場合は公的年金等控除が適用され、一時金として受給する場合には退職所得として課税上有利な扱いとなります。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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