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耐用年数

第087_2号 2001年7月

耐用年数とはその資産の使用可能期間のことです。耐用年数は原則的に税法で資産の種類、構造、用途により画一的に決められています。これを「法定耐用年数」といいます。

法定耐用年数の適用について誤りやすいポイントをいくつか見ていきましょう。

1.建物

①2つ以上の用途に使用される建物

原則的には2つ以上の用途に供されていても、その主たる用途や使用状況など合理的に判定して1つの耐用年数を適用します。

たとえば鉄筋コンクリート造りの冷蔵倉庫建物の耐用年数は24年ですが、その倉庫の一部が事務所になっていてもその一部について事務所の耐用年数50年を適用することをしないで、建物全体に24年を適用します。

ただし、逆に全体が事務所建物で一部に特別な断熱工事をして冷蔵倉庫を設けたような場合は、建物全体に事務所の耐用年数を適用せず、特別な断熱工事をして事務所とは明らかに区別されていることから、その一部について冷蔵倉庫の耐用年数を適用することができます。

②さまざまな内部造作

「鉄筋コンクリート造りの自社ビルの中に福利厚生施設としての木造の和室を作った場合」
その和室については木造の耐用年数ではなく、その建物全体の鉄筋コンクリートの耐用年数と同じものとされます。
「鉄筋コンクリート造りの住宅用マンションの一部を区分所有し、木造で内部造作をして喫茶店として使う場合」
区分所有の場合には建物全体ではなく、区分所有にかかる部分の用途ごとに耐用年数を適用します。また耐用年数表において飲食店用で木造の内装部分の面積が区分所有している延べ面積の3割を超えるものについては耐用年数が34年とされ、その他の場合の耐用年数41年と差が設けられています。
「他人の建物に対する造作の場合」
賃借期間満了時に賃借期間が更新できず、買取請求もできない場合は、その賃借期間を耐用年数とします。その他の場合はその内部造作を一つの資産として、その建物の耐用年数、造作の種類、用途、使用材質等を勘案して合理的に耐用年数を見積もることになります。

2.建物附属設備

建物附属設備の耐用年数は建物本体の耐用年数より短いので、区分して償却すればそれだけ減価償却費を多く計上できます。

新築建物の場合は見積書などの内訳明細により給排水設備、衛生設備、ガス設備、電気設備など建物附属設備に該当するものを区分していきます。中古建物の場合は区分が困難ですが、実務的には建物全体の金額の3割くらいまでなら附属設備として認められているようです。

3.車両と機械

     
  • 車両運搬具とは、自走能力すなわちエンジンの有無、また自動車登録の有無に関わらず、人または物の運搬を目的とするものです。
    トレーラー(運送用被牽引台車)、フォークリフト、自転車等は車両に該当します。
  • ブルドーザー、パワーショベルなどは車両ではなく、自走式作業用機械に該当します。
  • 農業用のトラクターなどの農機具は、別に「農林業用減価償却資産の耐用年数表」により耐用年数が決められています。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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