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社会保険・労働保険

第087_1号 2001年7月

1.はじめに

 

求人広告に「社会保険加入」といった雇用条件を目にすることがあります。

また、労働保険という言葉も聞いた覚えがあるのではないでしょうか。毎月の給料から税金と共に差し引かれている健康保険料や雇用保険料、その内容を良く知らないまま引かれていると思います。そこで今回は社会保険、労働保険について基本的なことを説明いたします。

2.社会保険の内容

社会保険は健康保険と厚生年金保険を内容としています。
介護保険は健康保険の一部です。

3..国民健康保険・国民年金との関係

法人は原則として法律上社会保険に加入する義務があり、加入している法人の従業員は社会保険に加入することになります(経営者も加入します)。国民健康保険及び国民年金は社会保険に加入していない人が加入します。

4.両者の違い

 
①保険料が違う
国民健康保険は全額自己負担で年額最高額が53万円程度。社保の健康保険は会社と折半で年額最高額が約100万円(従業員負担はこの半額)。
国民年金は全額自己負担で年額約16万円、厚生年金は会社と折半で年額最高額が約130万円(従業員負担はこの半額)。
②払う医療費が違う
国民健康保険は医療費の3割を病院に払います。社保の健康保険は2割を払います。
③もらえる年金の額が違う
国民年金は65歳から年額約80万円、厚生年金は60歳から掛け金と年数により異なりますが国民年金よりたくさんもらえます。

5.労働保険の内容

労働保険は雇用保険と労災保険を内容としています。

雇用保険はいわゆる失業保険です。労災保険は労働者災害保証保険のことです。労働保険も法人であれば原則として法律上強制加入です。経営者(取締役・監査役)は加入できません。

6.労災保険の必要性

労災保険は従業員が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり死亡した場合の保険給付を行うものです。

健康保険では業務上の事由又は通勤による負傷・病気による治療は対象外となっています。つまり、通勤途上のけがで病院に行っても労災保険に加入していないと健康保険は使えず、医療費全額自己負担となってしまいます。

7.労働保険の保険料

雇用保険が人件費(通勤交通費を含む)の0.6%を従業員が負担、0.95%を会社が負担します。
労災保険は人件費の0.55%を会社が負担します。

8.社会保険料は高すぎる

社会保険料は人件費の約26%で労使折半ですが、人件費が5千万円で会社負担が約650万円です。新卒の新入社員であればあと2人は雇用できます。また、会社が倒産の危機という状況で高額な社会保険料を払える訳がありません。そうなったら「もう保険料を払えない」といって社会保険を止めることも考えなければなりません。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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