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ソフトウエアの購入・開発費用

第073_1号 2000年5月

1.はじめに

ソフトウエアに対する税務上の扱いが平成12年4月1日より変更となりました。

パソコンソフトを購入したり、また、ソフトを作ってもらったり、自らソフト自体を開発するにあたっての税務の扱いが大きく変わりましたので注意が必要です。

以下どのように変わったかを説明します。

2.ソフトを購入したり、開発を外部に委託したりした場合

    
<改正前>
・20万円未満は支出時の費用
・20万円以上は繰延資産として資産計上し、5年間で費用化
 
<改正後>
・10万円未満は支出時の費用
・10万円以上20万円未満は3年間で費用化
・20万円以上
 無形固定資産として資産計上し、用途別に以下の扱いとなります。
  • 複写して販売するための原本 →3年間で費用化
  • 開発研究用 →3年間で費用化
  • その他の用途→5年間で費用化
  •  要は備品などの固定資産の扱いと同じ判断基準(10万円未満は経費、それ以上20万円未満は一括償却資産で3年償却、20万円以上は5年償却(複写販売用、開発研究用を除いて)と覚えてください

3. 4月1日が分かれ目

4月1日より前に購入または開発委託して取得したソフトは改正前の扱いで20万円が分岐点に、4月1日以降は改正後の扱いとなります。

4.勘定科目の変更

     
  • 改正前の20万円以上のソフト
       →「長期前払費用」
  • 改正後の10万円以上20万円未満のソフト
       →無形固定資産の区分で「一括償却資産」
  • 改正後の20万円以上のソフト
       →無形固定資産の区分で「ソフトウエア」

皆さんの財務会計ソフトの勘定科目に上記の改正後の科目を追加して使用してください。

5.自社開発ソフトは大幅変更

自社でソフトを開発しているソフトメーカーなどは税務の扱いが大幅に変わりました。

改正前は自社開発の場合、その開発費用は支出の都度、全額費用処理できました。

しかし、改正後はすべて、以上述べてきた改正後の処理が適用されるため、ソフト開発にかかった費用を無形固定資産として計上し、用途によって費用化します。

いままで発生の都度、費用計上できたものができなくなるということは、その分費用が計上できず、利益が増えて税金負担が多くなることは間違いないでしょう。

何の前触れもなく、税務の扱いが急に変わってしまうのもちょっと酷な感じがいたします。

 
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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