アトラスNEWS ~Monthly 税務・経営・節税情報~

資本の欠損

第069_2号 1999年12月

1.赤字申告が増えている

国税庁が発表した平成10年度の法人税の申告状況によると黒字申告割合が過去最低の31.6%だそうです。

つまり赤字申告法人が68.4%ということで、実に申告した全体の法人の7割近くが赤字申告ということになります。

2.赤字決算の程度

赤字申告は会社の赤字決算に基づきますが、ひとくちに赤字決算といってもそれは一様なものではありません。ちょっと風邪をひいたくらいなものから危篤状態のものまであります。赤字の企業が多数派となっている今の状況でその診断を的確に行なう必要があります。

3.「貸借対照表」資本の部の見方

赤字決算の程度を見るには決算書の貸借対照表における資本の部に注目してください。資本の部は次のような構成になっています。

① 資本金
会社の設立や増資の際に株主が出資した元手となる金額です。登記手続をしない限り金額は変わりません。
② 法定準備金
法律で積立を強制されている準備金です。法定準備金はさらに資本準備金と利益準備金に分類されます。
資本準備金は増資の際に資本金に組み入れなかった金額など資本金に準ずるものです。
利益準備金は商法により規定されているもので資本金の4分の1の金額になるまで利益処分において配当などの社外流出金額の10分の1以上を積み立てるものです。
③ 剰余金
会社が当期までに蓄積してきた利益の累積金額を表しています。利益処分により別途積立金、当期未処分利益などに分類されます。

4.資本の欠損とは?

当期において赤字が出ても過去の利益の蓄積がたくさんあれば、剰余金が減少したにとどまります。会社としてのダメージはまだ軽いといえます。

当期の損失が過去の利益の蓄積額を上回る場合には、もはや剰余金はないことになります。剰余金を上回る赤字は欠損金と呼ばれます。

欠損金が法定準備金を上回って資本金に食い込んだ状態が資本の欠損といわれます。株主が出資した元手が減少したことになります。

資本合計90=資本金100+欠損金△10

さらに欠損金が大きくなって資本金を上回った状態が債務超過なのです。出資した元手はすべて失われ、会社の資産より負債が多い状態です。

資本合計△10=資本金100+欠損金△110

資本の欠損の場合には株主の立場として、憂慮すべき問題となりますが、債務超過の場合には会社の資産だけでは負債は返済できないわけですから会社の債権者にとっても深刻な問題となるわけです。

会社はまさに危篤状態ということになります。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

 無断転用・転載を禁止します。