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税法上の役員

第061_2号 1999年4月

1.役員の範囲

会社の役員といえば、社長や専務などを思い浮かべるでしょう。商法では、代表取締役、取締役、監査役というようにいわれます。

しかし税法では役員の範囲はかなり広く考えられています。役員のつもりでない人たちも役員とみなされる場合があるのです。

税法上の役員は次のように規定されています。

① 商法等の役員

法人の取締役、監査役、理事、監事および清算人

② ①以外のみなし役員

  • 顧問、相談役でその法人の経営に従事しているもの
  • 同族会社の使用人で特定の株主に該当し、その法人の経営に従事しているもの

2. 同族会社の特定株主

(1)同族会社の定義

同族会社とはどんな会社かというのも税法で規定されています。

同族会社とは、株主等の3人以下と同族関係者で、持ち株割合が50%以上となる会社です。

もう少しわかりやすく言うと、株主の3つのグループで持ち株割合が50%以上となる会社です。

たとえば最も持ち株の多い株主AとAの同族関係者をAグループとします。同族関係者とはAの親族等です。

第2番目がBグループ、第3番目がCグループとすれば、これらのA,B,Cの3つのグループの持ち株の合計が全体の株数の50%以上であれば同族会社とされます。

(2)みなし役員とされる特定株主

次のいずれにも該当すれば特定株主とされます。

  • 持ち株の合計が50%以上に達するまでの株主グループに属している
  • その属する株主グループの持ち株割合が10%を超えている
  • その者とその者の配偶者の持ち株の合計が5%を超えている

よくあるケースとして、同族会社の大株主である社長が、息子を自分の会社で使用人として雇用しているとします。息子はまだ若いし、他の社員の手前もあるので、役員にはまだしていません。

しかし、相続対策のため息子に対して自社株を生前贈与していたというような場合に息子が使用人であるにもかかわらず、役員とみなされることが起こるわけです。

3.役員に対する規制

税法上役員に対しては次のような規制を行っています。

  • 役員賞与は損金に算入しない。
    (ただし、使用人兼務役員の場合は一定要件のもとに損金算入ができる。)
  • 不相当に高額な役員報酬は損金に算入しない。
  • 不相当に高額な役員退職金は損金に算入しない。

ちなみに平成10年度の改正で、みなし役員とされない使用人でも役員と親族等である特殊関係使用人の場合は不相当に高額な給与は損金に算入しないという取り扱いができました。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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